自転車操業物語 プロフィール
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  第10話    「パフ創業のきっかけを作ったM氏からのメール」    
1998年4月上旬。

パフの第1号就職サイト“しゅうかん会社説明会”。
結果的に、有料掲載企業として残ったのは、わずか16社であった。
無料掲載期間の申し込み総数は、約80社。
打率(有料掲載で残った率)は、わずか2割という結果だった。

ボクの「取らぬ狸の皮算用」では、悪くても打率5割、を目論んでいたので、この結果には相当なショックを受けた。

期待した売上げが上がらなかったことは、もちろん痛手ではあったが、いちばんショックだったのは、8割の会社が「無料掲載のみ」で、サーっと引き上げてしまったこと。

実は、「しゅうかん会社説明会」の効果を出すために、ボクは方々に働きかけて宣伝をしまくっていた。

サイトを立ち上げている学生団体に片っ端から連絡を取り、紹介してもらったり、「Jobweb」や「みんなの就職活動日記」の運営者にも協力してもらった。

さらにサラリーマン時代からの協力事業者にお願いして、お手製のポスターを首都圏の大学の就職部に掲示してもらった。

その甲斐あって、数週間で千人以上の学生がパフに登録してくれた。

掲載後の効果も着実にあがっており、1社平均10名前後の説明会動員がはかれていた。
「3万円くらいは支払ってもらう価値十分にあり!」と勝手に思い込んでいた。

が。結果は上の通り。
世の中、やっぱり甘くはない。

ボクは悩んでいた。
運転資金が2ヵ月後には底をついてしまう、ということよりも、今後の事業運営の軸が自分の中で、ぶれ始めていたのだ。

「俺は、いったい何をやりたくて会社を作ったんだろう……」

そんな時、ボクがパフを設立する際、大きなキッカケと勇気を与えてくれたM氏から、一通のメールが届いた。
(M氏とは…?説明すると長いので「パフ創業物語」を参照されたし)


>  釘崎へ

>  (中略)

> お前は事業の志をどこに置くのか?
>  儲かろうが儲かるまいが、体を張ってお前は何を追求したいのか?
>  事あるごとに、出会うどんな人にも(従業員にも愛人にも)熱く語る、
>  パフを通じて実現したい夢……それは何なのか?

>  企業の採用成功? 学生の就職成功? 一攫千金? 日本のビルゲイツ?
>  打倒リクルート? 学歴社会の打破? 夢ある人生支援?
>  日本産業の再構築? 敗者復活人生の支援? 国家を超えた人材の交流?

>  何でもいいんだけど、このへんが見える企業=顔が見える企業、にパフは
>  なってもらいたいもんです。

>  (中略)

>  他の同業他社との競争優位は、資金力でも商品力でもブランド力でも人材
>  でもない。
>  釘崎の努力と、その背中をつき動かす志、軸、コンセプトの斬新さだけが
>  競争優位のような気がします。
>  
>  その軸がしっかりしていれば、商品設計でぶれることはないし、思想に合
>  わない人間を切ることもできます。
>  
>  志があればベトナム(パフ)だって、アメリカ(リクルート)に勝てるわけです。

>  (中略)

>  忙しいのはわかるけど、事業の関係者だけと会うのではなく、音楽やら
>  映画やら女やらと、釘崎がどこまで付き合いの範囲を広げられるかも重要
>  でしょう。

>  (中略)

>  苦しいからといって、二流の会社や人物と付き合うのはやめよう。

>  (中略)

>  パフは失うものが何もないはずです。
>  どこまで個人の味方になれるかは大きなポイントでしょう。
>  他人のフンドシや智慧をどこまで使うか。
>  またパフの資源をどう提供するか。
>  流れは、利権・独占・大資本から、自由・共生・提携なんだと思います。

>  (中略)

>  まー、いろいろあるけど、酒でも飲みながらまた今度。


涙が流れてくるほど嬉しかった。

(あなどりがたし、パフを陰で創業させた男M。つづく)

 
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