選考辞退が多いのは何故か? 自己開示の重要性と採用コミュニケーションについて~共感とはどうして生まれるのか
作成日:2023.2.20
こんにちは、ミスターDです。「なにその名前?」と思った方、
こちらを読んでください。
今回も大好きな釣りを強引に絡めて述べたいと思います。
何気ない言葉が生む「ご縁」とは
初回は釣りの現場でも「声掛けが減った」ことを書きましたが、まず私が海で心掛けているのは先行者の釣り人がいたら「おはようございます」「こんにちは」と挨拶をすることです。
まあ挨拶しても完全無視する人もいますが、挨拶は相手からの期待をするものではないですからね。挨拶をすれば、自ずと近くの釣り人は何かの拍子に「釣れませんねえ」とか「そのルアーは何ですか」のちょっとした会話が始まります。昨秋に鹿児島の波止場で、挨拶をした初老の男性が釣りを始めてから2時間後くらいに「お兄さん、今日は海がダメやなあ」と声を掛けてくれました。私は「すみません、実は地元じゃないのでしばらく振りの2回目で、海の比較ができないのです」と伝えたところ「そうなんか、わっぜ言葉が綺麗やし、東京からか?」から会話がスタート。(鹿児島の人は【わっぜ】を多用するんですね)
先ずは、私の釣り方に対して「どうしてそのルアーを使っている?何の魚を狙っているんだ?」と聞かれ、『はい、半年前に鹿児島でハガツオがこのルアーで沢山釣れたので今日もハガツオを狙っていますが、アオリイカも釣れたら嬉しいです。飛行機に乗ってきたので、それなりの結果を出したいんです』と話すと、「いまハガツオは桜島の沖から佐多岬方面に錦江湾を回っていて、アオリイカは今日の北東の風の場合は、〇〇に行くと風裏で波も立たず、釣りやすいぞ」と、私の立ち居振る舞いから、一定の素養があると思ってくれたのか、潮流や風の話をしてくれました。それに対して私も、潮流や風への持論を述べて、その結果、今日、この場所を選んだことをお伝えしました。
するとその人は「実は俺は〇〇地区の漁師でな。今日は休みで〇〇を狙って、コイツ(同行の弟子みたいな人を指さして)とここに釣りに来たのよ」と私の耳元で、普通の釣り人がリリース(※釣って直ぐに海に戻すこと)するような魚を狙っていると囁きました。その方のお仕事上、ここでは魚種は伏せます。私は「何で〇〇を狙っているのですか?」と聞いたら「この時期だけはお宝に変わるのよ。市場に出せば、真鯛がキロ1500円なのに、〇〇はキロ3万円の値が付く。なぜなら・・・」と丁寧に教えてくれました。そして、そのお宝期間は10月の2週間だけ。その理由もしっかり教えてくれました。
そこからまた2時間くらい、お互いに釣りをして、時に目線を合わせて軽く会話したり。その後、男性たちは釣りを止め、帰り支度をして私の前を通る際に「お兄さんは礼儀正しいし、地元のライバルでもないから、ついつい色々話してしまったな。でも、今日の話は覚えておくといい。金に困ったら、狙って釣って市場に出せ(セリで買えるのは組合員だけですが、魚を卸すことは一般人も可能なんです)。飛行機代くらいにはなるぞ」「じゃあ、またどこかで会えるといいな、気をつけて」と手を振って帰られました。
学生との関係構築も大事なのは自己開示と初期コミュニケーション
釣り歴25年以上の私ですが、また一つ、プロから学ぶことができて満足な釣行となりましたが、今回私が「実は漁師」だった方から、玄人ならではの知識を学ぶことができた理由は
★挨拶をして、コミュニケーションを邪魔する壁を壊した
★自分の考えをしっかり伝えたことで、相手が私への一定信頼を持った
★旅行者でライバルではないから「内緒話」を教えてもリスクが低いと思った
だと思いますが、これまた、就職活動や人材育成に通じるものがあります。
パフでは、入社後の
若手人材の教育研修も行っており、その際に「レンガ積み職人の話」を用いることもあるのですが、まさに自分の考えをどう伝えるか、で同じことをしていても、聞く側の捉え方も、その先に繋がる未来も変わっていくものだと思います。
社会人になれば誰もが分かることですが、新卒採用の時ほど、企業が自社のことをさらけ出すことはありませんよね。それはなぜか。自社の仲間になる人たちだから、企業がオープンマインドの形にしている前提だとしても、【学生たちが無垢であり、現在ライバルなどの可能性が低い】からだと思います。学生が聞いてもいない内輪話を伝えて、自社理解を高めてもらおうとするわけですが、学生自身はこの「自分がサービス享受状態」に気づいているでしょうか? 「人事は自分に優劣評価をする、心を許せない人だ、甘く見てはいけない」なんて思っていないでしょうか? そんな関係構築だと、初期接触(面談や会社説明会)後の選考に進まないことも多いでしょうし、「ご縁」は生まれなくなります。
嫌な人事、嫌な学生って何?
コラムを読んでいただいた採用に関わる皆さん、二度と会わないかもしれない学生であっても、気持ちの良い時間を過ごしてください。いずれそれは計画された偶発性となり、ご縁を生むのではないでしょうか。年間100人以上の就活生と300時間を超える面談をしていると「こんな人事は嫌だった」話を沢山耳にしますが、基本的コミュニケーションロスが原因なことがほとんどです。そこ、大事にしてください。
そして学生の皆さん(がご覧いただいているなら)、実は学生の皆さんが圧倒的有利(サービス満点)な状態でコミュニケーションを図れたり、学びを得られるのが就職活動です。合否だけに囚われずに、社会人と会話し、色んなインプットをしてみませんか?
最後に宣伝。パフの職サークルでは「1on1パーソナルトレーニング」という価値観の棚卸面談+人事担当と1on1の社会人訪問が出来る企画を昨秋から開催していますが、企業の方にも学生の方にも良い時間がご提供できていると自負しています。面接という形ではなく、学生の話に耳を傾け、自らもさらけ出すことを厭わない人事の皆様はぜひ、今年の夏以降、ご参加いかがでしょう。