面接の本音シリーズ①「就活生が出くわした最悪の面接官」
作成日:2023.8.21
こんにちは、ミスターDです。元人事の自分は、面接官として、集団面接も含めると7,000~8,000人くらいを実務経験していると思います。その経験上、面接官の役割は何度やっても、年齢を重ねても終わりのない学びだと感じます。それは「一度として同じ面接はない」からです。(まあでも、実は「似たようなエントリーシート」「事例集の様な回答」で学生側の課題はあるので、それはまた別の回で)
私は現在、面接官の役割はありませんが「キャリアコンサルタント」「キャリアアドバイザー」そして職サークルの「パーソナルトレーニング トレーナー」として年間100名ほどの学生の皆さんと「面談」を行っています。面接官との違いは、常に学生と並走していますので、面接官の時よりも心を開いてくれるまでのスピードが早いということです。そして、多分ですが、面接では見せない顔を見せてくれるし、気持ちを吐露してくれます。当然、私自身がそこで聞く内容は、個人が特定できるものや、個人の悩みなどを第三者に伝えることはありません。しかし今回2024年卒で就活を終えた学生たちに「コラムで取り扱うので聞かせてほしい」と伝えたところ、快く答えてくれた内容を基に、シリーズで書きたいと思います。
ということで、シリーズの第一弾はタイトル通り、就職活動で「面接で最悪だと思った面接官は?」への回答から、面接官が注意すべきことをこのコラムで提言できればと思います。
【面接官(採用担当者)のどんなところに「最悪だ」と思ったか】
・椅子に深く腰をかけて、崩れた姿勢で面接をされた。
・相槌が早く雑。全体的に早口。
・業務的に淡々と話をされた。
・淡々とした面接、相槌なし、笑顔なし。
・目線が合わない。愛想がない。
これ、当たり前ですけど、こんな人は面接官をやってはいけません。もしかしたら「学生の受け取り方」の部分もあるかもしれないので「そんなつもりはない」という事例もあるかもしれませんが、皆さんも会社で伝えることがあるであろう【評価は他者がするもの】ですから、これが評価になります。このような「人として当たり前のこと」が出来ない面接官のことを悔しそうに話すのを聞くのですが、その時は学生にこう伝えています。
『自分(学生)の偏見ではないか、を自問したうえで、基本的な所作が出来ていない、失礼な態度を取ってくるような面接官の会社には、行かない方が良い。何故なら、もしかしたらその人だけが失礼であり、やる気がないのかもしれないが、その人を面接官にしている人事や経営陣が優秀なはずがない。どんなに社名が有名でも、財務状況が良くても、自分の人生の大事な時間を使うのが勿体ない』
とアドバイスしています。これね、本当にそう思うのです。私自身も仕事で企業へ電話をすることも多いですが、面接対応同様に、電話応答も同じです。管理部門や人事部門なのに、「声のトーン」「対応する際の言葉」「電話の切り方」などが出来ていない会社に出くわすこともあるのですが、申し訳ないですが、新規のお取引するのは再考しなければと思いますし、お取引している場合は担当の方に「先日の●●部の電話の取り方、宜しくなかったですよ、●●●の事象、印象でした」はお伝えしています。すなわち、所作とはそれくらい大事だと、面接官は認識しなければいけません。
所作と違う種類のものでは、
・質問の意図がわからない。
・面接を作業のようにしている。
・「第一志望」と言わせたがる。それを聞いて満足して質問を終える。
・こちら考え方に対しての意見が固定観念的・ステレオタイプな決めつけである。
・雇用条件通知書がなかなか出てこない。
これは、実はベテランの面接官でもやりがちです。むしろ慣れて【調子に乗っている面接官】の方が、「面接してあげている」とか「私の言うこと分かる?」のような、上からの態度(特に学生はこの辺には敏感に反応します)になったりしますよね。実は私も、面接官になって3-4年目くらいに年間1,000人以上を面接するようになって驕りが出て、こういう傲慢な態度になっていたのでは、と大反省したことがあります。皆さんも人事の仕事に慣れてきて、一定の成果を出して責任を持たせてもらった時(そして既にベテランでも)には、ぜひ自問自答してみてください。
【基本知識理解は当然のこと、学生に求職者としての尊敬の念で臨むべき】
また「今どきの学生は」の一括りの伝え方も良くありません。いつの時代もカルチャーはあるので、事実として「今どきの学生の風潮」はありますし、それ自体は事実です。しかし、それを「万人共通」と決めつけたコミュニケーションはNGです。(でもこの部分は学生も同じで「人事」「面接官」をこんな人、と一括りにしがちで、ここに関しては学生に「君たちも相手を一括りにしてはいけない」と伝えています)
学生から出る意見として珍しい?のは「雇用条件通知がなかなか出てこない」あたりでしょうか。人事の皆さんは当然ご存知の「民法上、当事者間の合意があれば口頭でも雇用は成立する」ですが、新卒採用においては、学生側が「内定=無期雇用契約」の意識で臨んでいることは多くありません。しかし、これも釈迦に説法ですが、労働基準法第15条第1項「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」から、書面契約を行うと思います。
現在の私の立場では4月以降に多いのですが「内定時に2社から条件通知をいただいたのですが、読み方が分からず教えてください」や「内定と言われて、通知書と承諾書だけもらって条件通知がありません」などの相談を受けます。前者の場合は書面だけ渡して説明が不十分だったりすると、年収試算(賞与の基準値なども踏まえ)も学生は難しいですし、後者の場合は論外ですね。職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)は求人媒体や選考中に伝えるべきですし、内定と伝えるなら雇用条件通知をしないと承諾の判断もできないでしょう、ということです。これ、中途採用だったらありえないと思うのですが、なぜか新卒採用では疎かにしているケースを時々目にします。「学生にそんなの伝えても分かる訳がない」とかなのでしょうか?
これって、もしかしたら実は採用担当者側に問題があるのかも、とも考えられます。そう、その人自身が理解していない場合です。人事部門長時代に採用担当者の中途採用を行った経験もありましたが、この辺の雇用関係実務を理解していない求職者は意外といました(それまで企業で採用担当の経験ありなのに)。新卒採用担当は若年の未経験者でも配属になる可能性がある反面、その企業の人事パーソン育成のレベルが低いと、結果的にその採用担当者の市場価値を下げてしまいます。ぜひ採用担当者には労務関係の経験や研修をした方が良いですね。そうすれば、上記のように当たり前のことで不信感や不安感を学生に与えることは少ないのではないかと思います。
以上、シリーズ①は人事や面接官の方には苦々しい感じになったかもしれませんが、この学生の本音は事実ですので、それを基に考えを述べました。次回シリーズ②は真逆の【面接官(採用担当者)のどんなところに「良いなあ」「共感する」など好印象を持ったか】です。また約1か月後に続きを読んでいただければ幸いです。