STAFF COLUMN

スタッフコラム

ES添削、自己分析、面接対策、SNSに溢れる情報に翻弄される学生たちに「学生はなぜ表層的な思考なのか」と思う採用担当者向け~学ぶとはどういうことか

作成日:2022.12.2

はじめまして。今回からパフのコラムシリーズに参加することになったミスターDです。

いわば覆面レスラーですが、複数社で仕事をしているので、この名前で職サークル企画に外部スタッフとして関わっています。

まあ業務委託なのですが、とはいえ、パフとの付き合いは10年以上。先代社長の釘崎さんの頃からの仲なので、アウェー感などなく、むしろホーム感ありありなんで、好きなことを書いていきますので、よろしくお願いします!



 

私は人事を通算15年以上(採用、教育、労務、制度設計等々)やって3人~500人のチームマネジメントの経験があり、「そっち側」の経験や気持ちが分かることが自分の売りでもあるので、そんなことも交えて、採用担当者や人事に関わる皆様、部下育成を担当される皆様に向けて、自らの内省の意味も含めて、しばらくは色んなことをお伝えするシリーズで書いていきたいと思っています。

 

さて、前置きはそのくらいで。しばらくは自分のキャラ紹介を混ぜながら書こうと思いますが、私、海釣りが好きなんですよね。

今は個人事業主なのでスケジュール管理は自由ですし、可能な時には全国の海で釣りをしています。先日も沖縄・鹿児島でショアジギング(陸からルアーを投げて魚を釣る手法)を楽しんできました。釣り歴は本格的に始めて25年以上ですので、まあ釣りの酸いも甘いも経験してきているつもりです。やっとタイトルに絡みますが、最近釣っていて「学ぶってなんだろう」と思うことがあったので、その話を。

 

コロナ禍によるアウトドアブームで、釣りを楽しむ人、趣味として始める人が増えているのは海に行けば一目瞭然。特に関東の海は人口対比で人間の方が釣り場より多いから、どこも混雑しています。

釣りが人気になるのはとても良いことです。私も初心者の頃がありましたし、下手なことも問題ではありません。ただ・・・マナー問題は深刻なほど悪化していると感じます。キャンプやBBQでも同じでしょうが、ごみ放置問題とかは漁師さんや近隣住民の方には洒落にならない問題です。故に最近は釣り禁止の海(漁港・波止場)がどんどん増えています。

ゴミは必ず持ち帰る。「来た時よりも美しく」が初歩的マナーです。



釣り方にもマナーが色々とあるのですが、初心者がまず気にするべきことが「他者に迷惑をかけない」です。

例えばルアー釣りの場合はルアーには尖った針がついていて、少し触れるだけでも食い込みケガをしますので、移動時や投げる際に人に注意しなければいけません。そしてそういうトラブルを避ける為には「竿1本分以上、横の人と間隔を開ける」があります。要は、竿を横に向けた時に他者に当たらない距離ということですね。

実はこの初歩的マナーを分かっていない人が数多くいるのです。中にはお子さん連れの人もいるので、安全面は絶対なのですが、家族連れでも人が釣っているすぐ横に「空いている!」と入ってくる人も見かけます(サビキ釣りという足元だけを狙う場合は例外的に横をそこまで開けなくてOKだけど、危険には変わりなし)。

前述のように、関東など人が多いところでは、どうしてもそういう風になりがちなのです。

情報を拾うのは簡単。どう「自分のもの」にするか、が大事


先日、釣具屋で店員さんとその辺の話になりましたが「基本マナーを誰が教えるのか」です。

釣り業界がもっと啓蒙活動をすべきなんじゃないか、とか。そういう私も釣りを始めたばかりの頃は、細かいマナーは知りませんでしたが、釣り場で会った人に指摘されたり、釣りに一緒に行った先輩たちから、時には厳しく指導を受けました。ところが、最近は「釣りの情報はWEBやYouTubeから」なんてことは当たり前。YouTuberが楽しそうに釣り、魚を持って喜ぶ姿を観て【釣りの楽しさ】に惹かれて釣りをする人も多いわけです。YouTuberと同じような服装で、同じルアーを使って楽しむことは良いことですが「風の向き、潮の流れを見てキャストして、隣の人の糸と絡まないようにする」のような、基本的な釣りの原理が分かっていないで「ただ投げる」「巻く」の初心者の多いこと。

「自分のこの投げて巻くという行為でどういうことが起こりうるのか」と自分で考えることをしないのです。情報は検索すれば直ぐに入るので、誰かからの知識だけは豊富だけど、本質や原理を追求・思考していないので、薄っぺらい釣りになり、釣果も伸びず、スキルの上達もしません。少し前まではそういうことをしていると「おい、初心者、もっと勉強してから海に来い!」なんて初対面のベテランさんに叱られたりしたものですが、最近は「何か言ったら刺されるんじゃないか」みたいな風潮もあり、見知らぬ人との釣り場の会話も減ってきている気がします。

就職活動は結果からの逆算ではなく、経験を積み上げるもの


実はこれ、新卒の就職活動でも見受けられるのです。

学生たちは先輩や就活アドバイザーから「こうすると高評価されるよ(受かるよ)」なんてことを言われて、見様見真似でエントリーシートを書いたり、SNSでばら撒かれる「リツイートしたら差し上げます情報」の記入例や回答例を丸暗記したり。

採用の面接官をする方は当然お判りでしょうが、その人の意見や価値観、未来への意志が無ければ、個の評価(自社との親和性)など判断できるわけがありません。

しかし、一生懸命に情報をダウンロードし、「真似る」「覚える」ことに必死になっている学生も多く見かけます。

 



じゃあ、どうするべきなのか。

そこで学生を責めるのは筋違いです。

誰が就職活動を効率重視にし、考えることを止めさせているのか。

きっとそれは私を含めた面接官や、採用に関わる社会人だと思います。何か言えば「コンプライアンスに抵触するかもしれない(もちろん遵守は大事です)」「今時の学生に言っても、きっと伝わらない」なんてことは思わず、真っ直ぐに向き合い、学生たちに考える余裕(隙間)を与えるのが、社会人の使命だと考えます。

ぜひ新卒採用に関わる皆さんには「合否を決める」だけではなく、目の前にいる社会の人財に「どう伝える」「どう考えてもらう」のが、社会にとっても、より良いことなのか、を意識していただいて、面談や面接に臨んでいただければと思います。

便利な世の中になり、費用対効果、効率化が重視される時だからこそ、未来に輝く原石たちに本質を考える時間を「大人の余裕」で提供したいものです。

それが出来れば、実はSDGsなんて言葉が無くても持続可能にやっていけるのでは、なんて。

今日はこの辺で。
ページの先頭へ