幸福感と叙情的判断、そして採用と就活
作成日:2023.7.11
こんにちは、ミスターDです。そろそろ「面接官シリーズ」で書こうと思っていたのですが、最近、ある有名アングラー(釣り師)のYouTubeでの発言が物議を醸しており、色んなことを考えて、それも採用やビジネスと関連するなあ、と感じたので、思ったことを書きます。
【模倣(コピー)と感化(インスパイア)と進化(エボリューション)】
一般のほとんどの方が知らないであろうネタですが、この炎上した内容は「某100円ショップ(大手企業)の釣り具が、有名ブランド(中小企業)のものとそっくりで(値段は7分の1)、それが売れていることについて」で、このアングラーの発言が、捉え方によっては「元々のメーカー寄りの内容」だったことに、「特許侵害でもない以上は、企業努力によって、ユーザーにもたらされた価値あるものだし、むしろ本家の価格努力が足りない」などのアンチコメントが出たものです。実際、私も100均の該当釣具を使っていますが、本家のものも愛用しています。本当にそっくりで、釣果もしっかり出るので、売れる理由も分かりますが、まあその類似品を販売することの是非はここでは関係ないものとして。
そのアングラーが炎上後にアンサー動画で言っていたことに、私自身は共感しました。それは「幸福感」という言葉を用いた発言で、「どうして日本は先進国の中で幸福度のランキングが低いのだろうか」「合理主義と情緒主義(社会学上は家族主義)のバランスで人それぞれの幸福感がもたらされる」というものでした。いやあ、凄く考えさせられるものですし、日常、会社や組織で働く際にもこの「主義」「価値観」で共感や反感が生まれたりしますからね。人生の幸せを考えるにおいて、目を覚ましている時間の半分くらいを仕事に費やすうえでも、今回のこの話は良い題材でした。
・人間は合理主義と情緒主義を使い分けている(どちらか100%の人はいない)
→例:家族が「雨で駅に迎えにきて」というのに「コスパ悪い行動だからNO」と考える人は少ない
・実家が豆腐屋で1つ500円、よそで同じ程度の豆腐が200円であったらどちらを買うか
→多くの人は情で実家の豆腐を買うだろうが、その関係性次第では合理的な200円の方を買う
・50年間生きてきて色んな人に会ったが、海外の人の方が日本人より情緒主義で幸せそうにしている
→この20~30年で日本は合理主義が強まった、それが幸福感の低下にも関連しているのでは
こんな話をしながら、今回炎上した「本家高額釣具と模倣?100均釣具」のどちらを選ぶかは「どちらかが間違いではない話で、自分は本家の開発者を尊敬しているから、そちら(ライバル企業)を支持する」と明言しています。
【徹底的に計算しながら、決して感情は忘れるな】
実際に私もブランドビジネスに関わり、商品設計をしていた頃は「その人なりの幸福感を満たす」をポイントにして、差別化やブランドポジションを考えていました。すなわち、世の中の全員に買ってもらう必要もないのです。というか、そもそも超大手企業以外は「大量生産勝負=マスマーケット勝負」はできないのですから、中堅以下の企業は「ファン層」をいかに掴むか、そしてリピーターになっていただけるか、がビジネスとして重要になりますよね。「なんで●●に50,000円も払うのよ」と思う人は、大量生産される5,000円のものを使えば良いですし、自分たちのお客様が「やっぱり違うよね、50,000円払う価値はある」と言っていただければ、満足していただく為に徹底追究して商品を世に送り出した意味があり、十分な売上や利益が得られます。自分が在籍した企業は大手企業でもないのに、ヒットブランドをいくつも出して、世界的にも評価されたのですが、それを生み出した創業者や経営現場から学んだことは
「算盤勘定は左手で、右手は必ず情緒的であれ」でした。アメリカ、ヨーロッパの企業たちが「日本で展開するなら、あの会社とタッグを組め」「日本企業なのに情緒を重視する彼らとは気が合う」となり、ビッグビジネスがいくつも生まれました。成功の背景には、その情緒的な企業カルチャーがあったのです。
採用関連商材で営業をしていると「他社さんは▲▲円なので・・・」は時々聞く言葉なのですが、自分の人事時代には、営業してこられる方には、その言葉は使わないようにしていました。理由はここまでに述べたとおり「違うもの」だからです。まあ、例えば全く同じ商品があって、販売代理店同士で見積額が違う場合は「確実な差」ですが(そもそもそんな相見積はアンフェア)、それ以外は同じ領域の「違うもの=違う価値」なので、他社の金額なんて関係ないのです。発注側も【値切ること→予算を削減すること→評価が上がる】と思って行動しているとしたら、少し短絡的ですよね。最も大事なのは、どんな企業、どんな経営状態であっても「成果や質を上げること」以外にはないはずですし、そう考えなければ、経費削減してその場は凌げても、先は見えています。よって、目前の商材が自社にとって価値があるかないか、見積比較ではなく、いくら払うのが適正か、が大事なポイントだと思います。
【採用/就職活動でも合理主義に傾倒していないだろうか】
なんか前提の部分が長くなりすぎました・・・。ここから本題であり、投げかけも含めてです。ビジネスだと、どうしても合理主義に考えていませんか? 合理主義(生産的/効率的/主観)が悪いとはいいませんが、ビジネスの関係であっても情緒主義(非生産/非効率/共感)は必要なのではないか、と思うのです。理由は「取引企業も人間(の集まり)だから」であり、目の前にいる取引先の向こうには家族などの利害関係者もいて、その人も合理的にだけ生きていないはず、だからです。就活や採用もこれが当てはまると考えますが、学生はどうしても「面接」や「働く」ということに合理的目線から入ってしまいます。おそらく「ビジネス社会とは合理的なものだからだ」の先入観があるからであり、ビジネスを知らないのですから、仕方のないことです。しかし、その先入観は採用側がほぐしてあげられると思うのです。「合理主義だけではないのがビジネスであり、働くということだ」ということも、採用を通して学生たちに伝えられたら、きっと学生たちも就職活動で情緒主義(ホンネ)を出しやすくなるのではないかと考えます。
株式会社パフも情緒的思考を大事にしている会社だと思っています。商材の職サークルがその代表的なものですが、採用ビジネスの業界が効率重視で成長していく中、20年以上「ホンネの就活、ホンネの採用」を掲げて「企業の採用担当の方と一心同体で」提案してきていることは、同業他社との差別化になっていますし、だから私もこの会社と肩を組ませてもらっています。生きる上での収入として最低限の算盤勘定はしていますが、「圧倒的情緒主義」での判断なのは間違いありません(笑)。そして、ようやく時代がパフに追い付いてきた、と私は思っています(逆にパフは奢ることなく、会社っぽくなりすぎて合理主義に傾倒しすぎないでね!と願う)。
最後に。パフは信念を忘れていないよな、と思える商材が「職サークル ギャザリング」です。そこでは企業に「学生情報」などのリターンの確約はありません。確約されているのは「ホンネの場」です。そこで何かを得るか得ないかは、企業も学生も参加者次第ですが、だからこそ「得られる=学びになる」場なのです。興味のある方は、是非ここで、ホンネで採用や就活を語りましょう。