笠原の読書感想文『「原因と結果」の経済学ーデータから真実を見抜く思考法』
作成日:2023.8.3
「軽薄な人間は運勢を信じ、強者は因果関係を信じる」
ラルフ・ウォルドー・エマーソン
この本の袖にはこの一文が記載されていました。
私はこの一文を読んで「自分は軽薄よりの人間かも、、」と感じました。。。
さて、今回も読書感想文を書かせていただきました。
今回の課題図書はこちら
著者:中室牧子, 津川友介
出版社 : ダイヤモンド社 (2017/2/17)
発売日 : 2017/2/17
なぜこの本を選んだかというと、採用の支援をしているとどうしてもお客さまの言っていることに対して「それってほんとなのかな?」と思うことがあります。
例えば、
「学生が内定を承諾しないのは、自社の魅力が伝わっていないからだ!」や
「会社説明会から選考への移行率が低いのは、自社の知名度が足りないからだ!」
というものです。
確かにどれもいわれてみればそんな気がしますし、そうではない気もします。どうしたら感覚ではなく、確かな因果関係が導き出せるのだろうと考えた時に出会ったのがこの本です。
(正確には経済学の修士をされている方におすすめしていただきました)
今回はほんの中でも特に採用活動にも当てはまりそうだと感じた内容を記します。
・「因果関係」と「相関関係」は別モノ
詳しくはぜひ本を読んでいただきたいのですが、2つのことがらが相関関係にあったとき、原因と結果の関係の「因果関係」と、あたかも関係があるように見えつつも原因と結果の関係ではない「疑似相関」という二つの相関関係が存在するとのことです。
採用においても、昨年度のインターンシップ参加者数と、会社説明会の参加者数が比例関係にあったら因果関係があると考えるかもしれませんね。
しかし、実はそれは疑似相関かもしれません。もし疑似相関を因果関係だと思ってインターンシップ集客を強化しても実はなんの因果関係もなかったらその施策は失敗してしまう可能性があります。恐ろしいですね、、、
・因果関係の確かめ方
先ほど因果関係と疑似相関の話をしました。では実際どのように因果関係を調べれば良いかというと、様々な方法が紹介されています。Aが起きたらBになるのであればBが起きれば同様にAが起こるか確かめる。またAが起きなかったらBも起きないのか調べる。A、B以外にAとBの事象に影響をもたらす別の原因はないか考える。など等。。。特に新卒採用において役立ちそうだと思ったのは「差の差」分析です。
新卒採用は毎年のトレンドにも大きく左右される分野ですので、「今年は去年からこう変えたから、ああなった」というのももしかしたら“こう変えた”ことで“ああなった”のではなく、ただのトレンドによって“ああなった”だけかもしれません。こうした状況で因果関係を探るためには、“こう変えた”をした場合としなかった場合に前年と今年での差をそれぞれ導き、その差同士を比較することで、その差、つまり「差の差」をもとに因果関係を導くということが必要になります。
どちらの話も私の文章力ではうまく表現できなかったのですが、採用における分析をしっかり行わなければ見かけの数字に騙されて、根拠のある採用活動ができなくなってしまいます。
ほんの中には様々な事例を用いて、因果関係の導き方が紹介されていますのでぜひ読んでみてください!そして、本を読んでも自社の採用に経済学を応用するなんてできないよ!と思った方、ご安心ください。パフでは「自社の採用を様々な観点から調査し」「出てきたデータをもとに分析をする」ことで根拠を持った採用施策を実施できる「採用力調査」といいうものがございます。ご興味のある方は、書店、もしくはパフまでお問い合わせください!今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今までの読書感想文は以下からご覧いただけます!ぜひ読んでいただけますと幸いです。
笠原の読書感想文『世界と私のAtoZ』
https://www.puff.co.jp/column/20230105kasahara/
最近のZ世代は一体何を考えているのか、Z世代当事者の著者が就業感も含めた様々な角度からZ世代を語ります。
笠原の読書感想文『居場所の社会学 生きづらさを超えて』
https://www.puff.co.jp/column/20230209kasahara/
自社の社員が自社を「居場所」と感じてくれるにはどうしたら良いのか、そんな疑問からこの本を選びました。