笠原の読書感想文『心療内科医が教える本当の休み方』著:鈴木裕介
作成日:2023.9.12
休んでも疲れが取れないその理由はなんだろう
皆さんこんにちは。パフの笠原です。
今回も読書感想文です。(趣味の読書で仕事が進む一石二鳥感が便利でやめられません笑)
「休み方」がテーマの今回の書籍ですが、これを読んだきっかけは著者の鈴木先生の講演を聞いたことでした。産業医としても活躍されていることもあり、企業の中で起きるメンタルヘルス問題にも造詣が深く、「これ自社でも起きているかも!」と気づかされることがたくさんあります。人事業務をされていると社員のメンタルヘルスや、就活で心が疲弊した学生に出会うことも多いのではないでしょうか?そもそもストレスとは一体何なのか、それを解決するにはどんな考え方、そして手法があるのか、本著では丁寧に解説されています。ぜひ読んでみてください。笠原の気になるポイントは以下の通りです。
頑張ってるのに疲れていく、それって過剰適応かも?
過剰適応とは書籍の中でこのように紹介されています。
端的にいうと「自らのニーズよりも、他社のニーズを満たすことを重視しすぎて疲弊している状態」のことです。
p.40 5行目より引用
他人のニーズを満たすということは、仕事の中でも重要なことですし、行ってしまえば仕事の本質そのものかもしれません。しかし、その過程で余りにも自分のニーズをないがしろにしたり、人の役に立っていない自分はダメな人間だと自分を責めるようになってくると赤信号かもしれません。また、そうした環境にずっと身をおいていると次第にあらゆる痛みに対して鈍感になってくるそうです。他人のニーズと同様に自分自身が何をしたいか、という「自分自身のニーズ」についてもしっかり目を向けることが大事と言われています。
自分のニーズを知るためには?
よく就活生や、会社員でも自分のやりたいことがわからない、という人をよく見かけます。
ただ、自分の本当の気持ちに気づくためには安心と安全が確保された状態が必要だそうです。皆さんは適切に休めていますか?休むと一言に言っても、それこそ冒頭に挙げたように休んでいるはずなのに疲れがとれないなんてことはありませんか?
よく心身の状態を表す際に「交感神経」「副交感神経」という言葉が用いられます。それぞれのバランスが大切だということはよく知られていますが、本著ではポリヴェーカル理論という理論に基づき、副交感神経2種類と交感神経1種類の3つの状態をもとに心身の休め方を紹介しています。それにのっとって“休む”ことで自分のニーズを見つける方法が紹介されています。
結局本当の休み方って何?
先ほど本書では3種類の体の状態について言及されていると言いましたが、それぞれの状態に合わせて適した休み方があるそうです。これについて書いてしまうとネタバレになってしまうので控えますが、私が特に共感したものを一つ紹介します。それは自身の身体感覚を取り戻すというものです。簡単に行ってしまえば体を使って運動をしましょうということなのですが、ただ体を動かす以外にも、重力を感じて、体の重さを実感することも挙げられていました。私自身もともとダンスをしていて、今もクラシックバレエのレッスンに週一回は通っているのですが、レッスンを通じて、自分の体の感覚と言いますか、自分のイメージと身体を合わせていくことをしていると自然と頭も体も整うような感覚があります。ある意味これが私にあった休み方なのかもしれません。(土日にレッスンに行っていることを言うと「元気だね~」と言われることが多いですが)
書籍紹介
『心療内科医が教える本当の休み方』
2023年9月13日
著者:鈴木裕介
発行者:高橋克佳
発行所:株式会社アスコム
さいごに
書籍内でも言及されていますが、高度経済成長期やバブルの時代は社会に穴(欠点)が多く、「ここを変えたらもっと世の中は良くなる」という改善点がたくさんあったため、目指すべき方向がはっきりしていましたが、ある程度物質的な豊かさを手に入れた現代では、社会としても個人としても目指すべき方向性が見えなくなっているそうです。
私自身、確かにそうかも、という漠然とした共感があります。
この仕事はやっている意味はあるんだろうか、なぜ働いているんだろうか、働かなければ生きていけない時代でもないですし、そうしたことを改めて議論する、そんな時間ももしかしたら一つの休み方なのかもしれないなと。
いまいち締まらない〆となってしまいましたが、本の内容に興味を持った方はぜひ買ってみてください!
笠原の読書感想文バックナンバー
「軽薄な人間は運勢を信じ、強者は因果関係を信じる」
お客様の採用結果を正しく読み取るにはどうしたらよいんだろう?そんな疑問を解決したくて読んだ一冊です。結果、たくさんヒントがありました。
最近のZ世代は一体何を考えているのか、Z世代当事者の著者が就業感も含めた様々な角度からZ世代を語ります。
自社の社員が自社を「居場所」と感じてくれるにはどうしたら良いのか、そんな疑問からこの本を選びました。