「採用力調査」新卒採用活動における初期条件確約について考える
作成日:2024.9.11
どうも、大岡です。
そろそろまともなことを書けという無言の圧力がかかってまいりましたので、今回は仕事の話です。
弊社ではビジネスリサーチラボ社と共同で、シーズン終わりに「採用力調査」を実施しています。
一言で言えば辞退者調査なのですが、データを集めてから問題を見つけるよくあるタイプのものではなく、採用課題を仮説で並べ、それを検証していくことで自信をもって翌年の採用課題を設定することができるようにしようというコンセプトは他社にはない点と自負しております(宣伝)。
今シーズンもその結果がまとまり、各社にレポートを提出するとともに、課題を議論する場を設けている真っ最中ですが、その中でよく議題に上がるのが【勤務地】と【初期配属】。
昔話をすれば、総合職が当たり前だった時代から、採用難の一つの打ち手として出てきた現在のジョブ型募集はかなり広がりを見せているように思います。
調査を実施いただいている超大手メーカー様は技術系、事務系ともにコース別採用を実施しているものの、技術系は勤務地が地方(メーカーだと普通です)、事務系は初任地確約は無しということで、ほかはすべて良かったけど、そこが理由になって他社に行くことにしましたという学生がたくさんいます。
私も大学から東京(厳密には最初は横浜)に出てきて、都会暮らしに染まり、地方で住むのは絶対嫌な人なので本当にダメな人はそれを大事な軸の一つに定めて意思決定をしてもいいと思います。
やったことがない仕事、行ったことがない場所での暮らしに不安が先立つのは当然です。
その不安を少しでも和らげるためにできるだけイメージを沸かせてもらうような努力はこの企業様もこれ以上ないでしょうというくらい実施されています。
それでも毎年調査結果でここがポイントとして挙がります。
視点を変えれば、イメージできる施策を十分に実施しているのに離脱するのであれば、それは正しいスクリーニングであると考えることもできます。
それとは別に、学生側が初期条件に対して、実はよくわかっていないのにやみくもにこだわってしまっているという側面を正していくという視点が大事なのではないかと考えます。
あくまで初期配属です。転勤がある会社なら数年後には全然違う場所に移動になる可能性もあります。職種についてもやらせてみて適性が違ったとなれば違う仕事に代わりますよね。
初任給の額も含めて、社会に出た人からすれば、いかに最初の条件にこだわるかが意味のないことは明白です。
でも学生はわからないんですよ。
目先の不安を少しでも解消したいんですよ。
だったらうちも初期条件提示、というができる会社はいいですが、ほとんどの会社はそうもいきません。
だったらどうするか。
こちらの事情を分かってもらいましょう。
学生は自分中心に勤務地確約、初期配属確約という条件がもらえるか、もらえないかしか考えず、相手方である企業の都合に想いを馳せることはありません。
それを提供できる会社とできない会社があること、で思考が止まり、その理由に目を向けていません。
なぜ勤務地確約ができないのか、なぜ総合職採用なのか、自社の事業の特徴や人材に対する考え方をしっかりと説明することで、一定の学生は「なるほど、だったら仕方ない」となるのではないかと思います。
これ以外にも人事異動をなぜ実施するのか(=企業にとっては顧客との関係構築をやり直すなどリスクも大きいが、期待する人材に様々な経験を積ませて成長させ、上に進んでもらうために実施するのだよ)、内定承諾期限をなぜ定めなければいけないのか(=オワハラというけど、あなたが断ったら次の人に内定を出さなければいけない。その人を待たせてしまうことになるから仕方ないでしょう?)、といったこともしっかり説明することで分かってもらえることの一例です。
ただ、こういった思い込みによるわだかまりが解消したとしても自社に入社するかどうかは他の部分の魅力付けがしっかり行えているか次第ではあります。
言ったつもりになっていることが伝わっていない、というのもよく調査結果で出てきます。
真摯に対応するとともに、伝えるべきことをしっかり伝わるまで伝える。
これはなかなかに大変な作業ですが、学生視点で採用活動をとらえると一番と言っていいほど大事なことだと思います。
皆さん、ぜひ頑張っていきましょう。
そしてできているのかどうか、迷ったら迷わず採用力調査をしましょう(宣伝)。