STAFF COLUMN

スタッフコラム

笠原のケニア探訪記~コーヒー農園での出会い~

作成日:2025.4.24

ついに最終日。今日はコーヒー農園を見学し、その後すぐに飛行機に乗ります。

少し悲しい気持ちで向かっていると、まさかのトラブルが発生。ドライバーの運転する車に乗っていると、突然警察に声をかけられ、警察官が助手席に乗り込んできました。「He is a dangerous driver!」と言われましたが、意味が分かりません。少なくともケニアで出会ったドライバーの中ではトップクラスに丁寧な運転でしたが、何かしら交通違反をしたようで、そのまま警察署に連れて行かれました。後部座席には私ともう一人のツアー参加者がいました。警察署の駐車場で20分ほど待たされ、無事にドライバーが戻ってきて、何事もなかったかのように元の道へ戻りました。ケニアの警察は結構厳しいと聞きます。これがケニアの洗礼パート3でした。(海外旅行ってハプニングが多くて楽しいですよね)

 

またもやガタガタの未舗装路を進み、コーヒー農園に到着。ツアーを受けました。事前に支払いを済ませていたのですが、お釣りがなく「あとで渡すね!」と言われてツアーが始まりました(ぼられるかなーと思いましたが、ちゃんと後で返ってきました)。ツアーガイドさんが参加者の出身国に合わせて、その国にどのようにコーヒーが持ち込まれたかを話してくれて面白かったです。日本の場合、最初にコーヒーが持ち込まれたのは長崎の出島だとか。また、コーヒー豆がアラビカ豆と呼ばれるのは、コーヒーを広めたのがアラビアの国だったことに由来するそうです。さらに、日本のコーヒーブランド「カルディ」の名前は、コーヒーを最初に見つけた羊飼いの名前に由来しているとか。いろんな小話をしてくれて面白かったです。

このガイドさんが面白いのは、小話のバリエーションだけではありません。突然「あなたが一番怒ったことは何ですか?またそれをどう解決しましたか?」と問いかけてきました。世界で初めてエスプレッソを開発した人は、ある工場のマネージャーだったそうです。そのマネージャーは、従業員がコーヒーブレイクを長く取りすぎて十分に働かないことに腹を立てていたとか。そのブレイクタイムを短くするために、早く飲み終わる濃くて量の少ないコーヒーを作ったそうです。それが今日のエスプレッソの原型になったとか。誰かが怒って、それを解決しようとしたことがコーヒー文化の一部を形作っているのは面白いですね。

他にも「あなたが幸せを感じるのはどんな時ですか?」のように、自身の価値観を振り返るような質問も投げかけてくれました。ただのコーヒー見学ではなく、リフレクションのような内省の時間を作っているのが印象的でした。

農場を回りながら、コーヒーの加工過程も見学しました。採取、乾燥、殻むき、ローストなど、現物を見ながら解説を聞きました。おそらく観光客向けの英語だったので、街中のケニア人の英語よりも数倍聞き取りやすかったです。

農園の見学が終わると、テイスティング体験へ。浅炒り、中炒り、深炒り、キャラメル仕上げ(正式名称は忘れましたが、キャラメルのような香りがつく炒り方があるそうです。コーヒー豆の周りの甘い果肉の部分を付けたまま炒る方法だったような)の4種類をテイスティングしました。残念ながらすべて外しました(同行者は全部当てていました。すごい)。

そしてすべての工程が終わると、ガイドさんからある歌のプレゼントがありました。ガイドさんには友人がいたそうですが、ある日自殺してしまったそうです。そんな時にこんな言葉をかけられていたら、という思いを込めて歌を作ったとのこと。歌詞には繰り返し「You are enough」と綴られていました。

日本で過ごしていた時には、常に何かにならなきゃとか、もっとこういうことをしなきゃとか、自分の現在地を否定して何か変わる必要性を感じながら過ごしているような感覚でした。この歌を聴いて、もっと肩の力を抜いて、自分のために生きてよいんだと思えて心が安らいだ気がします。帰国してからも何度かこのメロディーを思い出して心を落ち着けています。

また、ステレオタイプな感想かもしれませんが、黒人のガイドさんが白人(しかも富裕層っぽい人たち)に対して、「人は誰でも平等で、国や生まれは関係なく、こんなふうに声を掛け合えたら世界はもっと良くなる」と伝えていて、黒人差別もある世の中で黒人のガイドさんが白人の旅行客に堂々とそう呼びかけている姿がすごく印象的で、勇気のある行為だと感じました。

こうしてケニアでの全行程を終え、帰路へ。一人で空港に向かい、14時間のフライトへ。

不思議なことに、すべてのフライトで隣の黒人に話しかけられました。帰りのフライトで隣になった人には、習ったケニア語を話したり、カチュンバリの作り方を教えてもらったりして、長時間のフライトも飽きずに過ごせました。



コーヒーの実(赤いやつが収穫時の実です)



実の部分をとって乾燥させる工程を経たもの



テイスティング(焙煎具合は外したけどどれもおいしかった)



最後の夕日(国によって太陽の描きかたが違うというけれど、見え方も感じ方も場所によって変わることを感じます。)
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