2000年8月1日午前10時。
ヨシカワ、フルカワ、アサヒ。
タカノリを除く3人の内定者のための、研修がスタートした。
講師は、当時パフの非常勤役員だった寺さん。
物語の随分前の号でも書いたが、寺さんは、昔の会社(オフィス機器メーカー)
では、営業マンの教育責任者だった。その手腕を買われて、リクルート
にスカウトされ、リクルート関連会社の営業担当役員まで務めた人だ。
本場仕込みの新人営業マン研修を見れることもあり、
ボクはたいへん楽しみであった。
まず、研修の1番目のプログラム。
ボクは、てっきり「社会人とは?」とか「社会人の基本マナー」とかの講義
を行うのだろう、と思っていたが、まるっきり違った。
最初に行ったのは、「成功商談と失敗商談の事例研究」。
パフの商品・サービスや、お客様のこと(あるいはお客様になり得なかった
会社のこと)を、実際の商談を元にして、内定者に感じ取ってもらうのが目
的だ。
「社会人とは?」を教えるよりも、これから自分が置かれる世界が、
どういう世界なのかを事例を元にリアルに感じてもらう方が、社会人として、
いや、「パフの新人」としての自覚が芽生える。
自覚さえ芽生えれば、そのあとの研修への取り組み姿勢が格段に違ってくる。
何事も貪欲に吸収しようとする。
…これが寺さんの狙いだったのだ。
実は、前日、寺さんに「成功商談を3例、失敗商談を3例、それぞれまとめ
てきて欲しい」とお願いされていた。
まず成功事例3例を、得意満面になって内定者に説明した。
そして、次に、苦々しい表情で、失敗事例3例を説明した。
それぞれの事例をもとに、「なぜ成功したのか?」、「なぜ失敗したのか」
思い思いにディスカッションしてもらった。
こうして皆、初っ端から、ずいぶんと前のめりに、パフの研修に取り組む
ことになったのだ。
1日目は、こうしたディスカッションを中心に研修が進んだ。
そして2日目。
TELアポ、初回訪問、紹介訪問のロールプレイングゲームが、研修の中心
となった。本番さながらに、電話をかけ、営業訪問をし、商談を疑似体験し
てもらう。いよいよ実践トレーニングの開始だ。
もちろん皆はじめての経験である。さー、どうなることやら…。
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