釘さんの100の出会い プロフィール
バックナンバー一覧へ
 
  <第148話> 「新卒6期生 岩崎菜緒子の巻」   2007/11/12  
 
前回に続き、今回の主人公も新卒6期生。キムラと同期入社の岩崎菜緒子(い わさきなおこ、以降イワサキ)である。6期生は、キムラと今回のイワサキで フルメンバー。2名のみの採用だった。

実はイワサキも、出身大学が僕と同じ明治学院大学である。前回登場のキムラ もそうだった。もちろん学閥採用というわけではない。明治学院大学出身者が 入社するのは、パフ創業以来、今回が初めてのことだったのだ。

ところがなぜか6期生に限っては、明治学院大学生の大量採用(?)という結 果となった。理由は特段ない。が、創業10年目の節目で、初めて創業者と同じ 大学の出身者が入社するというのも、ちょっと因縁めいていいのかもしれない。

・・・

イワサキは、お父さんの仕事の関係で、小学生の頃まで北海道で過ごしていた。 いわゆる「社宅住まい」で、隣近所は皆、お父さんが同じ会社に勤務する家庭 ばかりだった。それだけに住人同士の結びつきが強く、社宅内の子ども同士の 付き合いも、家族のようにとても近いものだったという。転勤で東京に戻らな ければならないと知ったとき、イワサキは友だちと離ればなれになるのがイヤ で、何日も泣きじゃくったという。

このころの話は、僕との最終面接のときにも、そして今回のコラムを執筆する 際の取材のときにも、イワサキは実に懐かしげに話してくれた。彼女の「いま」 を形成するうえで、とても大事な経験だったのであろう。

イワサキが最初にパフと出会ったのは、パフが明治学院大学で行った模擬面接 講座でのこと。この講座を行っている「パフ」というちょっとヘンな就職情報 会社に興味を持ったイワサキは、その後開かれた、パフ自身の会社説明会に参 加することになる。

そしてこの説明会で一気に志望度を高めたイワサキは、パフの選考会に参加す る。前回のキムラも参加した「もんじゃ選考」だ。

それから、あれよあれよという間に最終選考まで辿り着いた。選考期間中のイ ワサキで最も印象に残っているのが、最終選考(一週間のインターンシップ) 時に行った「電話がけ」である。

決められた時間のなかで、リストにある100社ほどの会社に応募者が一斉に電 話をかけて、先方のFAX番号を聞き出すという作業である。

営業マンとしての基本的な仕事が、電話での「アポとり」。さすがに応募者の 段階で実際に訪問させるわけにはいかないので、その一歩手前のFAX番号調 査の電話をさせることで、アポとり電話の疑似体験をしてもらったわけだ。

このような「仕事」をさせられるのは初めてのこと。当然うまくいかない。電 話をかけた相手からは「何のご用件ですか?」と冷たくあしらわれる。なかな か辛い仕事である。

このインターンシップのなかでは、どれだけの「成果」をあげられたかという ことももちろん見ているのだが、それよりも、どれだけ「前向きに」仕事をと らえ乗り越えようとしていたか、ということを僕は見ていた。

イワサキは、「ガシガシ電話をかける」というタイプではなかったのだが、誰 よりも着実に件数をこなしていた。そして、まずかった点を冷静沈着に振り返 り、次に電話をかけるときには反省点を活かしたうえでの「改善」を施してい た。華々しく目立つ成果こそなかったものの、その堅実で真面目な姿に、とて も好感がもてた。

インターンシップが終わって数日後。最終面談を行うためにイワサキを会社に 呼んだ。

「パフは小さな会社で、仕事ははっきりいって大変なことばかりだ。辛い仕事 もたくさんある。それでも、やっていくだけの覚悟がキミにはあるか?」

「は、はい、あります」

「本当にあるか?」。僕は多少、語気を強めて聞いた。

「はいっ、あります!」。イワサキは僕の目をまっすぐに見て、そう答えた。

「よしっ、頑張ろう! 内定です」

ほんの数分の最終面談だった。本人の覚悟を聞いたうえで握手を交わした。イ ワサキは多少涙ぐんでいたものの、とても晴れ晴れとした顔をしていた。

そして今年の4月。晴れてイワサキは入社してきた。半年以上が経過した現在、 おそらく想像した以上の仕事の大変さと辛さを味わっていることと思う。

しかし、イワサキよ、心配するなかれ。いまデカイ顔をして活躍しているあの 先輩もこの先輩も、皆、新人の時には、ボロボロだったのである。幾度の山と 谷を経験して、やっとデカイ顔になっていくのである。

イワサキには、パフへの入社を決意したときに誓った「覚悟」を胸に、持ち前 の、冷静沈着な行動力を活かしながら、堅実に、一歩一歩前に進んでいって欲 しいと思う。

ということで99番目の出会い。新卒六期生のイワサキこと、岩崎菜緒子との出会いでした。
<< 前のコラムへ 次のコラムへ >>
 
バックナンバー一覧へ