2000年2月中旬。
「個人の資産家をはじめとして、様々なネットワークを有している。
3000万円くらいまでなら、いつでもOK。報酬は成功報酬で構わない」。
こんな話を持ち込んできた会社があった。
「成功報酬ならリスクはないし、悪くないかも…」
そう思ったボクは、詳しい話を聞くことにした。
その会社はST社という。
大手証券会社で企業の公開引受やM&Aをやってきたという社長に会った。
特に胡散臭さは感じなかったし、きちんと成功報酬の契約を交わした上での
依頼なので問題ないと思った。
しかし、話を進めていく中で、あれ?ということが出てきた。
●ST社 : 「釘崎さん、投資家に御社のことをきちんと紹介するためには、事業
計画書を出さなきゃならないんです」
◆クギ : 「事業計画書ならありますよ、こんな感じのものなんですけど」
●ST社 : 「そんなに薄いんじゃダメです。投資家を納得させるための作り方っ
てものがあるんです」
◆クギ : 「はー」
●ST社 : 「それがないと、投資家に御社のことをつなぐのは難しいですね」
◆クギ : 「そんなぁ。なんとかならないんですか?」
●ST社 : 「うちで作ることはできますが、それなりの時間とお金はかかりますよ」
◆クギ : 「っていくらくらいですか?」
●ST社 : 「200万円。ただし、投資家がつかなければ半額で結構です」
◆クギ : (それでも100万円かぁ。大きい金額だな。でも3000万円の
キャッシュが手に入れられるんだったら…)
そう思ったボクは、事業計画書の作成を依頼することにしたのだった。
それから約2週間。事業計画書を作るための打ち合わせを、ST社の担当者
と重ねたが、どうもしっくりと来ない。
一応はできあがったのだが、自分で作っていた事業計画書の方が、どう見て
もパフらしくて、納得できる。
「まぁプロにはプロの作り方、見方ってもんがあるんだろう」
ボクはそう思うことにして、しっくり来ない自分の会社の事業計画書を眺め
ていた。
(でも、こんなんで200万円とは、いい商売だねー…)
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