2000年8月下旬。
内定者4名とボク。合計5名の営業マンによるドタバタ営業が続いていた。
ボクは、すでに取引を頂いている既存の協賛企業への次年度の提案を行い、
リピート契約をとってくることがメインミッションだった。
そして内定者4名は、新規協賛企業の発掘と、その企業との新規契約。
どちらがたいへんで難しい仕事かというと、
もちろん「新規協賛企業の発掘」の仕事だ。
パフのことをまったく知らない企業に対して「パフとは?」を説明すると
ころから始まり、最終的にはお金を出してもらう(協賛企業として企画に
参画してもらう契約を結ぶ)ところまでやらなければならない。
これは、難易度=超A級の仕事だ。
当時パフは、リクナビをはじめとする大手就職媒体と比べると、
企業への知名度は皆無に等しかった。
それを売り込むというのだから、これは百戦錬磨の営業マンでも至難の技
であったろう。
そんな大変な仕事だとわかっていながら、仕事の経験がまったくない、特
に営業など「ド素人」の内定者に、どうして任せたのか…。
答えは簡単。
他に誰も任せる人間がいないから。
既存客のリピート契約はボクにしかできなかったが、「新規契約」の仕事は、
ボクがやっても、内定者がやっても、難易度に変わりはなかったからだ。
そしてもうひとつ大事な理由がある。
パフに入社を決めた以上、内定者だろうが経験者だろうが、そんなことは
関係ない。自分たちの会社(仕事)は、自分たちの手で築き上げて欲しい
と思ったからである。
そこには「まだ内定者なのに…」などという意識は、(少なくともボク
には)まったくなかった。
……
内定者の電話による必死のアポ取りは、比較的順調に行われ、皆、1日に
少なくとも1件は、訪問先を見つけていた。
ボクもリピート営業活動のかたわら、出来る限り同行した。
話はどこの会社もよく聞いてくれるが、そこから先、「じゃあ、具体的に」
というところで、なかなか話が進まない。
時はもう9月になっていた。
新卒採用商品の営業シーズンは短い。9月末までで、ほとんどの企業は
翌年度の利用媒体(採用広告手段)を固めてしまう。
余すところ、営業可能な期間は、1ヶ月を切っていた。
しかし、内定者の頑張りにもかかわらず、まだ純粋な新規の契約は、1件
も獲得できないままだった。
皆の顔にも、疲労と焦りが出始めていた9月中旬のある日。
その事件は突如として起きたのだった。
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