先週に引き続き、2000年11月11日(土)。
場所は福島・飯坂温泉の旅館の一室。
ボクの娘(当時小3)と、内定者タカノリとの、壮絶なポーカーバトルが、
繰り広げられていた。
「アヤちゃん、大丈夫やわ。タカノリの奴、たいした役もでけてへんクセに
突っ張っとるだけやわ。アヤちゃんのこの手やったら、絶対に勝つって!」
そういいながら、娘を励まして(そそのかして?)いるのは、同じ内定者の
フルカワアキコ(大阪出身)。
娘は、その言葉を信じて、最後のマッチ棒(コインの代わり)を積み上げた
のだった。
「さぁ勝負!」
皆、息を呑んだ。
まずは、うちの娘が、カードを並べた。
「おぉ!」
皆、どよめいた。なんとフルハウス、見事な役が成立していた。
この役なら、楽勝だろう。誰もが、そう信じた。
「ちょっと、タカノリ、早く出しなさいよ」
フルカワから、そう言われたタカノリは、少し躊躇しながら自分のカードを
前に並べた。
並べ終わった瞬間……。
時間が止まった。皆の息も止まった。周囲の景色も凍りついた。
「ま、まさか…、そ、そんなバカな……」
タカノリが並べたカードは、4カードだった。つまり、同じ数字のカードが
4枚揃っているのだ。
滅多にお目にかかれない、当然、フルハウスより上位にくる役だ。
娘は、周囲の気まずい雰囲気を察知して、自分の負けを悟ったようだった。
表情がみるみる変化していく…。顔が紅潮していく…。
目にはたくさんの涙が溢れそうになっている…。そして……。
う~ん、ここから先は書けない。あまりにも残酷すぎる。
この後のことは、読者の想像に任せることにしよう。
以来、タカノリは、ずーっと(3年たった今でも)、ボクの娘はもちろんの
こと、ボクやボクのカミさんに気を遣うことになったという事実だけは、お
知らせしておこう。
そして、この旅行から帰ってしばらくの間、ボクは毎晩、復讐に燃えた娘と
ポーカーの練習をやるハメになったのだった。
……
さて、何事もなかったかのように、物語は先に進む。
旅行から帰ったボクと内定者の4人が、次に取り組んだ課題。
それは、イベントの開催であった。
パフ設立の翌年から行っていた就職応援イベント“キミは就職できるか?”。
これを、この年は内定者と一緒に作り上げていくことにした。
イベントの開催日は、2000年12月8日。もう、あと1ヶ月もなかった。
ボクは、イベント企画・運営責任者として、
内定者のヨシカワアユを任命したのだった。
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