僕は、「幼稚園中退」という情けない学歴を引きずっています。
今でこそ僕は、この学歴をギャグとして使っているのですが、小学生の頃の僕
にとっては、ずいぶんと辛いものでした。
・・・・・・
僕が毎日楽しく幼稚園に通っていた11月下旬の頃だったと記憶しています。
僕の家族は、それまでの熊本県人吉市から大分県湯布院(由布院)町に引っ越
すことになりました。板前をやっていた父親の勤め先が、由布院温泉の旅館に
変更となったためです。
経済的な問題もあったのでしょう。小学校入学までの数ヶ月間、僕は幼稚園に
通わないことになりました。
当然友だちなど出来るはずもなく、ひとり家の中で寂しく過ごす毎日。
それだけに小学校への入学がとても待ち遠しく、4月の入学式が来たときは、
もう飛び上がるくらいの喜びでした。
本来であれば楽しく過ごせるはずのピカピカの一年生。この楽しいはずの毎日
を暗黒の日々に変えてしまったのが、Fといういじめっ子の存在でした。
由布院の小学校に入学する児童は、当然ですが100%由布院の幼稚園の卒園者
で占められていました。なので、僕はいわば「ヨソ者」。しかも熊本弁しか喋
ることの出来ない異文化の持ち主。
いじめっ子たちにとっては、もうこれ以上ない絶好の標的だったわけです。
Fは同じ一年生とは思えないくらいバカでかく力も強い。いつも子分たちを引
き連れている典型的ないじめっ子。いま思い出してもゾッとするような奴でした。
さらに悪いことに、Fの家は僕の家のすぐそば。朝の集団登校では、いやでも
Fと一緒だったわけです。Fのいじめに怯えながらの毎日。Fの存在のおかげ
で、僕の小学生スタートは最悪のものとなってしまったのでした。
あれ?このコラムのタイトルは「素晴らしき100の出会い」だったはず。
どうして“いじめっ子”のことなんか書くんだ?
そう思っている読者の方も多いと思います。
ところがどっこい。
このFの存在がなければ、僕の素晴らしき“3つめの出会い”につながらない
わけで……(この“3つめの出会い”は、来週お伝えしますね)。
「いじめっ子のF」。
何を隠そう、これが僕の「素晴らしき100の出会い」の“ふたつめ”なのであ
りました。
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