釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第32話> 「山形の運転免許合宿の仲間たち (前編) 」   2005/07/04  
 
僕は今から23年前。大学3年生になる直前に、自動車の運転免許を取った。
この23年間、僕は無事故無違反の超優良ドライバーだ。それもそのはず、大
学を卒業してからは、ほとんど自動車を運転した記憶がない。

・・・なぜか?

東京での自動車の運転が怖いから。

・・・なぜか?

自動車の教習を、一車線の道路しかない山形の田舎町で受けたからなのだ。

大学2年生の春休み。(前回のコラムにも書いた)長崎旅行を終えた僕は、東
京に戻って数日もしないうちに、今度は山形行きの特急電車に乗っていた。

約3週間の合宿で運転免許が取れるという。しかも費用は、宿泊代や食費を含
めても20万円ポッキリ。

しかもしかも、よっぽど成績が悪くない限り、教習所は卒業検定で合格を出す
という。……そりゃそうだ。卒業させなきゃ、それだけ宿代や食費がかさんで、
利益が減ってしまうのだから。

そんなこともあって、僕は山形での運転免許合宿に行くことにしたのだ。

季節は、2月の下旬。場所は山形県の長井というところ。

電車を降りてビックリした。あたりを見渡すと一面真っ白なのだ。白以外の色
がない。こんな凄い雪を見たのは生まれて初めてだった。

僕には同行者が一人いた。同じ大学のヨーコさんという人形劇団の先輩。彼女
も運転免許を取りたいと言っていたので「んじゃ、どうせだったら一緒に行き
ましょう♪」ということで、同じ合宿に申し込んでいたのだ。

駅には、宿泊先として指定されていた旅館「澤の井」の送迎バスが待っていた。
僕はヨーコさんと、このバスに乗り込んだ。他にも同じ特急電車から降りてき
たと思われる若者たちが10名近く乗り込んできた。

僕たちは、これから始まる3週間の合宿生活に、期待と不安で胸がいっぱいだ
った。でも、あいかわらずお腹はペコペコだった(笑)。

(次回に続く)

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