釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第40話> 「トップ営業マンのAさん   2005/08/29  
 
前回のWさんに次いで、神田営業所の実力営業マンだったAさんが、
今回の登場人物だ。

Aさんは当時、入社4年目の若手営業マン。でも、若手といっても、当時のリ
クルートでは、すでに「ベテラン営業マン」。所内でも、所長に次いで、ナン
バー・ツーの存在だった。

このAさん、関西出身のコテコテの“なんでやねん!”のひと。事務所の中で
は、いつも大阪弁で冗談を言ったり、罵声を浴びせたり、騒がしいひとだった。

仕事も極めてモーレツで、全国の営業マンの中でもトップクラスの成績を誇っ
ていた。

またAさんは、僕にとって怖い存在でもあった。なかなか営業成績のあがらな
かった僕に、「おい、クギー!! なんでおまえ、売れへんのや? みてみぃ
や、あの棒線グラフ…。おまえのところだけ地盤沈下しとるやないか」と、チ
クチクチクチク、しょっちゅう責められていた。

そんなAさんなのだが、優しいところもあった。売れずに落ち込んでいる僕を、
飲み屋に連れて行って、そこでは仕事の話などまったくせず、与太話ばかりを
ひたすらしていた。自分のドジな話をたくさんすることで、僕に自信を持たせ
ようとしてくれたのかもしれない。

それからAさんは、極めてスケベ。キレイな女性には目がなかった(実際目が
小さく、笑うとほとんど目は線でしかなかった)。当時住んでいた独身寮に遊
びに行ったときなどは、いわゆる「○○本」を自慢げに見せびらかしてくれた。

このAさんとは、僕がリクルートをやめてから15年近く会うことはなかった
のだが、僕がパフを創ろうとしたとき、久々に会うことになった。このときA
さんは、なんと、ちょうど起業家向けの雑誌の責任者をやっていたのだ。

「おぉ、クギぃ、おまえの独立・創業祝いに、ワシの雑誌にパブリシティで取
り上げてやるよ」

さっすがAさん。昔の後輩のために、そこまでしてくれるのか…と、感謝して
いた数日後。

「クギ、すまん。おまえの会社、うちの競合になるんで、やっぱり載せられん
わ。わるいな!」

ま、現実はこんなところだ(苦笑)。それでも、恨まれない性格をもっている
のがAさんの良い所だろう。

そういえば、つい1ヶ月ほど前にも、Aさんと築地で3年ぶりくらいに会った。
というよりも、擦れ違った。

「あれAさん?」「おぉ、クギ、わりーな、急ぐんでまた!」と走って消えて
いった。会った時間、わずか3秒。相変わらず騒々しいひとだった。

ということで、32番目の出会いは、トップ営業マンAさんのお話でした。

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