2001年春。パフに初めての新卒者が入社してきた。このときの新卒者のなかに
アサヒという男子社員がいた。メガネにこだわりをもった新人で、営業にも、
ちょっとしたこだわりをもっていた。そのこだわりのせいか、アサヒは顧客の
好き嫌いがはっきりしており、特定のお客さんへの思い入れがとても強かった。
そんなアサヒが、ある日僕のところに興奮した面持ちで報告をしにきた。
「クギサキさん、すごい人に会ったんです。ぜひパフのお客様になっていただ
きたい人なんです!!」
このアサヒが出会った「すごい人」こそ、本日の登場人物である三菱電機ビル
テクノサービスの二馬(ふたば)さんなのである。
僕が二馬さんと直接お会いするのは、このアサヒの報告から数ヶ月後のことだ
った。アサヒの言う“スゴイ人”って、いったいどんな人なんだろう……。そ
う思いながら、大手町の本社に訪問した。
「どうもー、フタバでございますー、いやあ、クギサキさんですか、はじめま
して、さ、どうぞどうぞ!」
とても人懐っこい笑顔で、二馬さんは、僕を出迎えてくださった。二馬さんの
全身からは、相手を優しく包み込むオーラのようなものが出ているように感じ
た。
二馬さんは、この春から、採用担当者として本社の人事部に異動してきたばか
りだった。だからであろうか。大手就職情報事業者主導の採用のあり方に、純
粋な疑問を感じておられた。さらに歯に衣着せずに、自社の従来の採用手法の
問題点を論じておられた。
そんな「べらんめー調」で本質を語る二馬さんに、僕はいたく共感し、一時間
以上、あれやこれやの話しをした。
会話の最後で僕は、
「来年の採用は、すべてをパフで設計させてもらえませんか?」
二馬さんに提案した。
初回訪問でのこの発言。大胆かつ唐突かつ失礼に聞こえるかもしれないが、僕
の中では、ごく自然の流れだった。
二馬さんの答えもごく自然に、
「おお、ぜひご提案ください」
というものだった。
そして数日後。ホームページの制作から始まって、学生への告知、各種イベン
トの開催、会社説明会の開催、選考プロセス、内定者フォローにいたるまでの
諸々の施策を二馬さんに提案した。まさに「いっさいがっさいのまるごと提案」
だった。
二馬さんは少し考えた後、「よし、これでやりましょう!!」と、とてもスッ
キリした顔で答えくれた。
さすがの僕も、まさかすべての提案がそのまま通るとは思っていなかったのだ
が、二馬さんは全てを任せると言ってくださった。そこには何の駆け引きも打
算もなかった。
これは意気に感じずにはおられない。ここまで信じて任せてくださる人を決し
て裏切るわけにはいかない。
こうして三菱電機ビルテクノサービスの二馬さんとの太くて長いお付き合いの
初年度がスタートしたのだった。
(後編に続く)
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