釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第121話> 「明治学院大学キャリアセンターの佐藤さん」   2007/04/23  
 
僕の出身大学は、東京都港区にある明治学院大学。文系学部のみの、比較的こ じんまりした大学だ。

僕がこの大学を卒業したのは1984年。もう23年も前のことだ。

ふつうの社会人は、いったん大学を卒業すると、なかなか母校に足を踏み入れ なくなるものだ。たまに懐かしくなって足を踏み入れたいと思っても、仕事が 忙しくてそれどころではない……といったところだろうか。

しかし僕は、1996年から11年間、毎年欠かさず、母校に足を運んでいる。

そしてこの11年間、ずっとお世話になってきた母校の職員がいる。

その職員の名前は、キャリアセンターの佐藤さん。本日の出会いの主人公だ。

僕が佐藤さんに初めて会ったのは、1996年の春のことだった。このとき僕 は、まだサラリーマンをやっており、当時の会社で、『登龍門』という就職サ イトの運営責任者を務めていた。

“インターネット”そのものが、まだ世の中に浸透しておらず、ましてや就職 活動でインターネットを使うのは“オタクくらいのものでしょ?”などと言わ れていた時代である。

少しでも早く学生に存在を知らせ、利用を広めなければビジネスが成り立たな い。運営者である僕たちは強い危機感を抱いていた。

「やはり学生に使ってもらうには、大学を通じた広報をやらなきゃ」という、 極めて当たり前のことに気がついた僕たちは、掲示用の大きなポスターを作っ て大学を回ることにした。

多くの大学にポスターを持参して掲示のお願いをするのだが、最初のころは、 なかなか色よい返事をもらえない。門前払いされることも、珍しくなかった。

そんななか訪問したのが、明治学院大学だった。あらかじめ恩師であるゼミの 教授から紹介してもらっていたこともあり、すんなりアポイントをもらえてい た。そして登場したのが、就職課(現在のキャリアセンター)の佐藤さんだっ たのだ。

僕自身が大学のOBだったこともあり、最初からずいぶんと打ち解けた雰囲気 の話になったことを覚えている。そして、どこでどういう話の展開になったの かは忘れたのだが、その年の秋の就職講座で、僕が『インターネットを使った 就職活動』をレクチャーすることになったのだった。

大勢の大学生の前で講義をするなんて、生まれて初めてのこと。ずいぶんと緊 張したことを覚えているが、同時に、ずいぶんと熱く語ったことも覚えている。

「インターネットの利用法」をレクチャーするはずが、終盤は「生き方」につ いての話になってしまっていた。そして講演後、学生から大きな拍手をもらい、 ずいぶんと感動したものだった。

その1年後。僕はそれまで勤めていた会社を辞め、パフを創業することになっ た。明治学院大学の佐藤さんには真っ先に、退職と会社設立の挨拶に伺った。

「釘崎さんが会社を創ったということは、明学の学生達の大きな励みになるは ずです。ぜひ頑張ってください」と佐藤さんは励ましてくださった。

なにより佐藤さんは、パフの『学生の視点』や『顔の見える』というコンセプ トに強く共感してくださっていた。

そしてこの年から毎年、一年も欠かすことなく、パフは明治学院大学で講座を 持たせていただいている。

大学での講座は、僕やパフの社員が講義をする形式のものではない。パフの協 賛企業の人事担当者の方々が3、4名、壇上に並んでパネルディスカッション を繰り広げる形式のものだ。しかも協賛企業の皆さんは、歯に衣着せない、本 音丸出しのトーク。これが学生にも職員の皆さんにも、毎年大好評なのだ。

佐藤さんは、このパフ独自の講座のスタイルを、もっとたくさん増やしたいと 考えてくださった。企業宣伝型・予定調和型・一方通行型の業界講座よりも、 格段に学生のためになると考えたのだ。

そして今年の秋から、それが現実のものとなる。明治学院大学とパフとがコラ ボレーションして、いままでになかった就職講座の運営を開始する。業界の説 明では、協賛企業の支援も大々的に募る。細部のプログラムはこれから詰める のだが、きっと学生にとっても、協力してくださる企業にとっても、有意義な ものになるのは間違いない。

11年前の単なる「ポスター掲示のお願い」の訪問が、このような大きなプロ ジェクトに発展したことを考えると、感慨ひとしおだ。人の縁の不思議さと偉 大さに、あらためて感謝する。

佐藤さんは11年前と変わらず、今もとても若い。僕はこの11年間で、年相 応に老けてしまったのだが、佐藤さんはぜんぜん変わらない。

つい先日も打ち合わせで大学に伺ったのだが、佐藤さんのところには、ひっき りなしに学生が相談に訪れていた。いつも学生の立場で学生のことを考えてい ることが、佐藤さんを若くさせている原因なのだろうか。ああ羨ましい(笑)。

ということで、明治学院大学の佐藤さん。78番目の出会いでした。
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