釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第139話> 「新卒四期生 田代明久の巻」   2007/09/10  
 
前回に続いて、今回も新卒四期生シリーズだ。今回の主人公は、田代明久(以 降、タシロ)である。

タシロとの最初の出会いは、「つきしま村塾」だった。色白で、やたらと背の デカイ奴がいるなあ、という、外見だけの、ホントに申し訳ないくらいつまら ない第一印象だった。

そのつまらない第一印象が変化したのが、彼が以下のコラムを塾で発表したと きだった。

・・・・・

 現代の若者が聞くべき言葉。私が考えるに、それはニーチェやウェーバー
 の格言ではなく、アントニオ猪木の心の叫びである。

 猪木は「バカになれ、ああバカになれ」と言う。バカと一言で表現するも
 のの、そこには深い意味がある。

 (中略)

 人生の成功者は皆、一つのことを極めたバカばかりだ。つまり、一昨年前、
 ノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏は「世界一の科学バカ」、イチロー
 選手は天才ではなく「最強の野球バカ」と置き換える事ができる。

 バカになることは人生を有意義に過ごす第一歩なのだ。

 しかしバカになるのも容易ではない。多くの犠牲を伴うかもしれない。
 不安に押しつぶされそうになるかもしれない。

 そんな時、猪木ならきっとこう言うだろう。「迷わず行けよ、行けば分か
 るさ」と。

 大学生活という名のモラトリアムに迷走する若者へ。ここに「猪木のすす
 め」を掲げてみた。

・・・・・

へー、なかなか面白い奴じゃん。なになに、立教大学で、体育会専門の新聞を 作ってるのか。どうりで猪木なんだ。ふーん。外見に似合わず熱い奴なのかも しれないなあ……。

それから1ヵ月後。タシロは、パフの選考を前提とした会社説明会に訪れた。 そして、なんと最終面接まで勝ち残ってきたのだった。

この年、パフに応募する学生は、本当に優秀かつ積極的な面々ばかりで、かな り熾烈な競争だったと記憶している。一見おとなしそうに見えるタシロが、最 終面接まで残っていたのは、ちょっと意外だった。

最終面接でタシロと交わした言葉は、実はあまり覚えていない。ただ、上のコ ラムを話題にしたことはよく覚えている。

結局、僕はタシロを採用することに決めた。涙を飲んで、不採用を通知した学 生が大勢いたなかで、どうしてタシロを最終的に選んだのか。タシロより快活 で、営業向きな学生は、他にもたくさんいたのに……。

それは、「素直に誠実に直向に、熱くなってくれるような気がした」からだ。 内に秘めた何かを、最初に出会った「つきしま村塾」以来、僕はタシロに感じ ていた。

そしてタシロは、2005年4月、パフに正式に入社する。

僕の期待に反して、正式に入社した後の、タシロは、とってもダメダメだった。 なにがどうダメだったかということを書き出すと膨大になりすぎるので割愛す るが、背の高いタシロが小人にみえるくらいだった。

彼が入社した年の夏。当時の新人営業マンを集めて、『虎の穴プロジェクト』 という組織を立ち上げたことがある。新人連中を、徹底的にしごきあげるプロ ジェクトだ。

毎日毎日、1日の行動計画をキッチリと立てさせ、一日の終わりに必ず反省会 を行なう。計画通りに実行できなかった場合には、僕の「地獄の責め」が待っ ている。そして、案の定タシロは、毎日のように地獄を味わっていた。

僕に怒鳴られなかった日は、たぶん1日もなかったであろう。たぶんタシロの 自宅には、釘に刺されてボロボロになった僕の藁人形が十体くらいは転がって いたのではないだろうか(苦笑)。


そんなタシロがダメダメな状態を脱し始めたのは、入社1年半を過ぎた頃から (つまり昨年の夏を過ぎたあたりから)だった。

何がキッカケだったのかはわからない。が、それまでのタシロとは見違えるほ どになっていった。自分で考え、自分で決め、自分で行動し、徐々にではある が、そこからキチンと成果を出せるようになっていったのだ。

そして、いまやタシロは、営業マンとしても企画マンとしても、パフの中心人 物である。Webプロジェクトのリーダーにも抜擢されている。彼が編集を担 当するメルマガのコピーは、毎回面白く、お客さんの評判もよい。

よくタシロに、「ホントにお前の新入社員の頃はダメダメだったよな。よくぞ、 あの状態から脱出できたもんだよなあ(笑)」と言うことがある。

「ホントにあのころは、毎日、地獄でした」と、タシロも笑いながら答える。


「大器晩成」とはよく言ったものだが、タシロには、本当の大器を目指して、 これからも日々難しく厳しい仕事にチャレンジしていってもらいたいと思う。

そして、「お前はバカじゃないか?」と本家本元の猪木に言われるくらいに、 迷わずにバカになってくれたらと思う。

ということで92番目の出会い。新卒四期生のタシロこと、田代明久との出会 いでした。
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