釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第142話> 「新卒五期生 高田大輔の巻」   2007/10/01  
 
新卒社員との出会いシリーズも大詰めとなってきた。本日の登場人物は2006年 4月の新入社員、高田大輔(以降、タカタ)である。

タカタの存在をはっきり認識するようになったのは、実は最終面接のときから で、ずいぶん遅いタイミングだった。しかし、このときタカタから受けた印象 は、それまでの印象の薄さを逆転して余りあるくらいに強かった。

タカタとの最終面接の場所は、パフの事務所の裏手にある鄙(ひな)びた喫茶 店。応接室が来客で塞がっていたため、急きょ喫茶店での面接とあいなった。

面接をはじめて10分も経たないうちに、「あ、こいつ、絶対採りたい」と思っ た。そして面接の途中で、思わず握手(事実上の内定通知)をした。

これは僕の面接では滅多にないことだ。面接の場で「採りたい」と思うことは あっても、すぐその場で握手を交わすことはない。だいたいは少し時間を置い てから決める。

それだけ、「タカタはパフに入るべき人材だ」という確信が、瞬間的に僕の中 に生まれたのである。

タカタには、内定者時代から大事な仕事をやらせた。とある大手企業の会社説 明会のコーディネート業務のアシスタント役を、全国各地を飛び回りながら務 めてもらった。

むちゃくちゃハードで、体力も気もつかいまくる仕事だったのだが、タカタは 文句ひとつ言わず、一生懸命にやってくれた。

それから極めつけは、2006年4月1日に開催した、07年度新卒採用のための 「パフ自身の“会社説明会”兼タカタたちの“入社式”」である。恵比寿ガー デンプレイスにあるお洒落なホールを借りての、200名以上の学生を集めた大 規模なものだった。

この日の説明会では、パフの歴史を「寸劇」で、来場した学生たちに説明した。 『パフの創業物語ALWAYS風』と題した寸劇である。

この寸劇のなかで、創業者である僕の役を演じたのが、タカタなのである。

僕の22歳のころの就職情報誌会社でのひとコマ。創業を決意した時(36歳10ヶ 月)の出来事。新入社員を怒鳴り散らしながら、死に物狂いで仕事をしていた 創業4年目(40歳)のころ……。

それぞれの風景を、タカタは僕に成り切って好演してくれた。僕は舞台の袖で タカタの熱演を見ながら、不覚にも感動し、涙してしまった。

「こりゃあ、たいした奴が入ってきた」。僕のタカタに対しての評価は、うな ぎのぼりだった。少なくともこの日までは……。


入社してからのタカタは、不遇に次ぐ不遇であった。彼自身も「え、なぜ?」 と思うことがたくさん続いたのではないだろうか。

創業したばかりの頃のパフが、おそらくタカタのイメージしていたパフだった のだと思うが、彼が入社した以降のパフは、それとは大きく違っていた。

タカタは、「とにかくガムシャラに、一生懸命やる人たちと一緒に働きたい」 という希望をもってパフに入ってきた。

しかし残念ながら、そんな「ガムシャラさ」や「一生懸命さ」とは違った人た ちが、タカタの周囲にはいた。

だから彼自身、腐ってしまうことや、一生懸命になりたくてもなれないことが あった。ヘンなところで自分の行動や考え方の範囲を決めてしまい、余計、自 分を窮屈にしてしまった。自分自身の経験や知識の不足も手伝って、パフォー マンスを十分にあげることができなかった。そんなタカタを、僕は叱責するこ とが多かった。そのことによって、さらにタカタは落ち込んでいった。

・・・実はこのへんのタカタの心情は、つい最近実施した、彼への入念な取材 で分ったことである。

取材のとき、次のようなことも分った。

タカタは就職活動のとき、大企業では働きたくないと思ったらしい。大企業の 看板の下で偉そうなことを言うサラリーマンにはなりたくなかったという。

同時に、ベンチャー企業にも嫌悪感を持っていたらしい。総じてベンチャー企 業は、「自分のため」に働いている人たちが多く、そこに怪しさと危うさを感 じたのだという。

大企業もベンチャー企業も自分の肌には合わないと思ったタカタは、「自分は 就職できないんじゃないだろうか?」と思った。

そんなときパフから、『あなたは大きな会社に入りますか?それとも大きな会 社をつくりますか?』というタイトルのDMが届き、心を動かされ、パフへの 応募を決めた。さらに、僕が書いた『パフ創業物語』や『自転車操業物語』に 共感して、「自分が一生懸命働ける場所はここだ」と思ったという。

タカタがパフに入った本当の理由を聞き、「一生懸命に働く奴が、あたりまえ に報われる会社」にしていかなければならないと、当然のことではあるのだが、 僕はあらためて思った次第だ。

「オレは見てないようでちゃんと見てるからなっ。やりたいようにやれよ!!」

タカタへの取材(実はさし呑み)が終わった夜の11時過ぎ、彼を見送りながら そう伝えた。

タカタはいま、パフ自身の新卒採用の実行責任者として動いている。自分以上 に一生懸命になれる熱い奴を、ぜひ見つけて欲しいと思う。

ということで93番目の出会い、新卒五期生のタカタこと、高田大輔との出会 いでした。
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