1997年11月初旬。
会社の設立日をいつにするか?
大株主のKさんにも相談したところ、1日でも早い方が良いという。
ボクも会社を作ると決心した以上、今の会社の仕事をなるだけ早く引き継ぎ、
スッキリしたいという気持ちになっていました。
いろいろ考えたあげく、設立日(銀行への資本金払い込みの翌日。法務局への
登記日)は、「イッチニイッチニ」の12月12日にしよう!ということにな
ったのでした。
H社の社長にも、12月いっぱいで会社辞めて、新しく会社を作りたい旨を、
話しました。
H社の社長は、大企業からリスク覚悟でスピンアウトした人間なので、ボクの
独立には十分理解を示してくださり、結果的には、同意してくれたのでした。
(まー、その後いろいろスッタモンダはありましたが…)
心配された資本金も、どうにかこうにか1000万円調達のゴールが見えてき
たのですが、実はもうひとつ先送りにしてきた問題が残されていたのでした。
それは「社名」でありました。
フツー、会社を作ろうなどという奴は、最初から社名を考えているものでしょ
うが、ボクの場合、まったくのノーアイディア。
会社設立に向けて、定款だとか、発起人議事録だとか、株式申込証だとか、実
に様々な書類を作らなければならないのですが、すべてに於いて社名は、当然
必要となります。
もちろん社名が決まらないと、あらゆる法的な書類に必要な、会社の実印すら
作れない!
書類作成期限まで、さほど猶予がないというのに、「これだ!」という社名が
浮かばない。
ぜんぜん案がなかったかというと、そうでもなくて、いま思い出しただけでも
恥ずかしくなるような、変な社名は、頭の中に浮かんでは消え、消えては浮か
び…。
ちょっとしたスランプに陥っていたのです。
「社名も考えつかないなんてなー。オレ本当にやる気あんのかな…」
そう思いながら、夜、ひとりで地下鉄に乗りこんだボクのあたまの中に、ある
名曲が突然流れてきたのです。
「♪Puff the magic dragon lived by the sea, and frolicked in the
autumn mist in a land called Honahlee…」
1960年代、アメリカのフォークシンガー、P.P.M(ピーター・ポール・
&マリー)が唄った、その名も「Puff(パフ)」という曲でした。
「Puff」とは、歌に登場する主人公で、子どもたちが大好きな、いつも一緒に
遊んだり冒険に出かけたりする「魔法の竜」の名前だったんです。
どうして、こんな歌が浮かんできたのか…?
原因は不明なのですが、ともかくもその時のボクは目から鱗が落ちたように、
「そうかー…。『パフ』っていうのも悪くないなー。
魔法の竜ということは、いままで運営してきた『登龍門』にも通ずるところ
もあるしなー。
若い学生相手の仕事だしなー。それに、なんだか夢があるし。
おまけに短い社名だから、判子代も安くて済むし、覚えてもらいやすい」
と、もはや、これしかない!という勢いだったのです。
帰宅して、女房と娘に社名の報告。
クギ : 「決まったよ!社名」
娘ら : 「え?何にするのー♪」
クギ : 「パフ」
娘ら : 「パフ~?なにそれ?パフやだ、パフやだー!」
クギ : 「えー、そんなこと言うなよ!もー決めたの!」
という思わぬ身内からの反対があったものの、他の支援者のみなさんの評判
は概ね良好で、新会社の社名は 『 パフ 』 ということで、様々な書類作り及び
印鑑の発注が始まったのでした。
さーって、あとは、あー!オフィスどうしよう?机も椅子も必要だし…。
( キミキミ!事務所も決まってないの?…つづく)
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