港区三田の閑静な場所に、「寺さん」なる人が経営する事務所、株式会社エイ
ムコンサルツはあった。
「おー、いらっしゃいいらっしゃい。あなたが釘さんですかー。あ、はじめま
して。私、エイムコンサルツのテラオカです!」
と、寺さんは僕が入るなり、相好を崩して出迎えてくれた。
経営コンサルをやっていると聞いていたので、インテリ風な人を想像していた
のだが、実際に目の前にいるその人は、どう贔屓目に見ても「インテリ」とい
うのとは程遠い風貌だった。
はち切れんばかりの笑顔。艶と張りのある頬っぺた。うるさいくらいに元気で
大きな声の挨拶。
なんだか「田舎にいる農家の元気なおじちゃん」という感じの人だったのだ。
世間話を交えての自己紹介をしているときだった。
「え、釘さんは熊本ですか?そぎゃんですかー。え、ヤッチロ(八代)?まあ、
ほんなこつですかー」
と、寺さんも急に熊本弁で喋りはじめたのだ。
「いやー、そりゃ奇遇ですなー。実は私も熊本出身ですたい!しかも八代選出
の代議士の秘書を、学生時代はやっとったこともあったとですよ。ガハハハー」
もともと寺さんは、壁を作るような話し方をしない人なのだが、出身地が一緒
ということが分かってからというもの、すべての垣根を取っ払っていろんな話
をしてくれた。
年齢は、僕よりもちょうどひと回り上だった。いわゆる団塊の世代の人である。
1960年代から1970年代にかけての、戦後の日本がイチバン生き生きとしていた
時代に青春を過ごしていた人だ。
この日の出会いをきっかけにして、生まれたばかりのヨチヨチのパフは、寺さ
んに様々なことをお願いすることになる。
●パフの社員やインターンシップ生の為の営業研修
●僕とのさまざまな案件に関しての会議・ブレスト
●学生向け就職講座の講師
●企業向けセミナーの講師
●学生向けイベントのコーディネーター
●そして、パフの取締役
パフ創業一年目から丸2年間。寺さんとは本当に濃いお付き合いをさせてもら
った。
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