1998年1月下旬。
会社を立ち上げたまでは良かったものの、収入の当てがまったくないまま1ヶ月が過ぎようとしていた。
このまま収入ゼロが続いたとしたら、4月で資金ショート…。
つまり“会社が倒産”してしまうことになる。
なんとかしなければ…。
それから連日、かつて取引経験のあった企業に訪問して、「商売のネタ」を探し求めていた。
20社近く訪問しただろうか…。
しかし訪問の甲斐むなしく、企業が採用関係の仕事を発注する時期が、すでに過ぎてしまっていたため、どこの会社からも色よい返事をもらえずにいた。
「とりあえず、もう1社回ってみるか…」
その会社は、以前、ボクが企画設計を担当していた「人事情報システム」を導入してくれた会社だった。
が、採用に関しては、いわゆる「学校指定制」でリクルーターを使った採用しか行わない会社。採用広報についてはほとんど見込みのない会社だった。
でも、そこのSさんという女性の人事課長は、とても素晴らしい方で、親身にボクといっしょに「どうすれば会社が食いつなげるか…」を考えてくれた。
Sさん : 「クギサキさん、やっぱりこの時期からだと、なにかターゲットを絞り
込んだ商品で攻めるしかないと思いますよ」
クギ : 「Sさんだったら、何にならお金を払いますか?」
Sさん : 「高いお金は、これからじゃ、どっちにしても駄目。
特にクギサキさんの会社は、設立したばかりで信用ゼロだもの。
でも、それを抜きにして考えると…
うーん、やっぱり、会社説明会の告知じゃないかなー」
クギ : 「説明会の告知だけにターゲットを絞ったサイトを立ち上げたとしたら
どうですか?」
Sさん : 「うん。結構分かりやすくって、食いついてくる会社あるんじゃない
かな。
あ、うちの会社は陰でコソコソ採用する会社だから、どっちにしても
クギサキさんの商売にはならないけどね(笑)!」
このSさんとの会話のおかげで、サーっと視界が開けていった。
そっかー。説明会の告知だけにターゲットを絞り込んだサイトか…。
今までの就職サイトは、あくまで総合的な情報で構成されていたけど、「説明会の告知だけ」っていう切り口は、確かに斬新だな。
よしっ!なんとか1ヶ月をメドにして、新しいサイトを立ち上げよう!
最低でも500万円を売り上げられるようなサイトにすれば、とりあえず「会社倒産」の危機は回避させられるぞ!
早速その日の夜から、サイトの画面設計に取り掛かるボクであった。
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