自転車操業物語 プロフィール
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  第17話    「パフ初めての中途採用」    
1998年7月。

パフの株式は、日本証券業協会のグリーンシート市場に登録され、広く一般株
主を対象とした「公募増資」を行うことになった。

ボクは、この市場に対して新株を400株発行することにした。
1株=5万円が発行価額だったので、2000万円の調達となる。

当初ボクは、この2000万円が、全額なんなく手に入るものと信じていた。

実は、グリーンシート市場といっても、東証とか店頭とかの正式なの市場とは
違い、知名度・信頼度は比べものにならないくらいに低い市場である。

何人の株主が興味・関心を示してくれるかは、まったくの未知数である。わず
か400株とはいえ、買い手がまったく集まらない可能性もある。

なのに…である。

これが後々大きな禍根を残すことになるのだが、超素人経営者のボクは、この
時、2000万円の資金が満額手に入る前提で事業計画を立ててしまったのだ。

そして、この「公募増資」開始と前後して、ボクは中途採用を行っていた。

中途採用したのは、前職の会社の取引先、T社の人事担当者=Tさんだった。
T社は、ある最終消費財のメーカーで、業界では3本の指に入るほどの有名企
業であった。

Tさんが、なぜT社を捨てて、パフに入ろうと思ったのか…?

2つ理由があった。

ひとつは、T社では行き詰まりを感じていた、ということ。
つまり、どんなに頑張っても、上層部には行けないと感じていたのだろう。

もうひとつが、パフに入れば、自分の力でパフをいかようにも大きくでき、自
分も経営幹部となることができる、と思ったからだ。

Tさんは、既婚者であり、子どもも3人いた。
正直に言うと、ボクはTさんの入社を相当躊躇していた。

「万一のとき、どうしよう…。奥さんや子どもを泣かすのは忍びない…」と
思ったものだ。

しかし、Tさんの「社長!パフを絶対に成功させる自信があるんでしょ!?」の
問いかけに「イエス」と答えていた手前、弱気なことを言い出すこともできず。

なかば不安を感じつつも、Tさんを迎え入れることになった。

(さてさて。2000万円は手に入るの?)

 
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