1999年10月。
ボクの元に一本の電話が入った。
「釘崎さん、すごくお待たせしちゃってゴメンなさい。今日の役員会で、正
式にパフを使って採用活動することになりました。正式に協賛企業として、
仲間に入らせてくださいね」
電話の主は、講談社の人材開発部長O(オー)さんだった。
Oさんとの最初の出会いは、この電話の半年前。
※この自転車操業物語の第30話にも、その出会いについて書いていますの
で引用してみます。
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1999年2月下旬。1通のFAXがパフの事務所に届いた。
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Puff様
2月16日付けFAX拝見いたしました。
いつもお世話になりありがとうございます。
実は小社は昨年より2000年夏まで社屋の移転があり、そのこともあり
会社説明会ができにくい状況です…
(中略)
パフには注目しています。
明年からはもう少し小社ホームページにも力を入れるつもりですが、今後
ともどうぞご指導の程よろしくお願いいたします。
(株)講談社人材開発部OH(※実際は実名)
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「えー?なんだこれは?」「なんで講談社からうちにFAXが来るんだ?」
(中略)
ボクは、それら会社に対して1ヶ月に一度くらいの頻度で、青臭いことを
書き綴ったコラムを、メールやFAXで送りつけていたのだ。
「青臭い」というのは、企業や学生が毎年繰り返している採用・就職活動
のおかしな所を皮肉って、批判じみたことを書いていたからだ。
調べてみると、講談社は、その無料掲載の200社の中に入っていた。
そして、ボクの「青臭い」FAXに反応してくれたのだった。
「講談社かー。出版の最大手だなー。就職サイトなんか使わなくても、有
り余るほどの応募者が来る超人気企業だし…。
まー、パフなんぞが営業しに行っても、ケンモホロロっていうところだろ
うなー」
と、思いつつも、お世辞にも達筆とは言えないが、OHさんの非常に謙虚
かつ低姿勢なFAXの文面が気になっていた。
また『パフには注目しています』の一文がとても嬉しく心に残っていた。
(後略)
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(引用以上。詳しくはバックナンバーで)
このFAXをもらった数日後、ボクは竣工したばかりの音羽の講談社本社
ビルでOさんと初めて会った。初対面のはずなのに、旧知の仲のような気
がしてきて、やけに意気投合したことを覚えている。
しかし、「会社対会社」の取引は、初対面で意気投合したくらいで気軽に
始められるほど単純なものではない。信頼と実績がものをいう世界なのだ。
ところがOさんは、会社として生まれたばかりの、それこそ「海のものと
も山のものともわからない」ようなチッポケなパフを信頼してくれた。
細かい経緯はお聞きしていないが、Oさんはパフと「会社対会社」の取引
を行うために、社内のいろんな人たちを説得してくださったらしい。
そして初対面の日から半年を経て、パフへの協賛、つまり「会社対会社」
の取引が認められることになったのだ。
実は、驚くべきはそれだけではなかった。
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