2000年1月4日。
パフの3年目が、スタートした。
2年間、ギリギリのピンチをかいくぐりながら、なんとか生きてきた。
しかし、相変わらず資金繰りは厳しく、社員の採用もできず、スタッフはボ
クと身内の経理担当のみ。
今年こそ、なんとかこの脆弱な体制にピリオドを打とうと思っていた。
まず、仕事始めのこの日に行ったこと。
……それは「商売繁盛」の初詣だった。
(この神頼み体質がよくない?)
東京・港区虎ノ門に、「金刀比羅宮」がある。ここでお参りをし、売られて
いるお守りを持っていれば「商売繁盛」のご利益があるらしい。
ボクはカミさんと娘(当時小2)を連れて、金刀比羅宮に出かけていった。
お賽銭を入れて、手を合わせる。
「今年こそ会社の基盤が整いますように。いや、それより前に、潰れません
ように」
などと願った。
天井に貼り付けるとご利益が得られるというお守りも買った。
「さー、会社に戻って早速仕事を始めるかー!」
と気合を入れながら、柔軟体操のごとく体を左右にひねった時に、突然悲劇
は訪れた。
腰から背中にかけて鈍い痛みが走ったのだ。
同時に、息が出来なくなってしまった。鈍い痛みが激痛に変わっていった。
そして、立っていることができずに、ついには路上に倒れこんでしまった。
「きゅ・救急車を呼んでくれ……。息が、で・できないーーー」
救急車を呼んでも時間がかかると判断したカミさんは、すぐにタクシーを拾っ
てくれた。
タクシーの運転手さんも、ボクの青ざめて苦しそうな表情にビックリして、
車から降りて、ボクを車中に担ぎ込んでくれた。
そして運び込まれたのが、金刀比羅宮から徒歩3分もかからないところにあ
る「虎ノ門病院」。
呼吸がまともに出来なかったボクは、きっとすぐにでも緊急手術室に運び込
まれるものと思っていたのだが……。
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