釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第17話> 「人形劇団ZOO(ずー)   2005/03/14  
 
1980年4月。僕は、明治学院大学経済学部経済学科に入学した。19歳と
4ヶ月の春だった。

体育会や愛好会や、その他任意団体などのサークルの勧誘が始まったのは、入
学式の翌日から。

色とりどりのたて看板が、キャンパスに所狭しと並べられていた。しかし、テ
ニスやスキーなど、「ミーハー系」の遊びサークルばかりが目立つ。

僕は入学式で知り合った仲間数人と、どこのサークルに入るという明確な意思
もないまま、ぶらぶらとキャンパスを歩いていた。

すると突然、僕の目の前に、縫いぐるみの人形がにゅっと現れた。もぐらとう
さぎの人形だった。

「こんにちはー、もぐらのモグ君です♪」「はじめましてー、うさぎのピョン
子よ♪」

な、なんなんだ??

もぐらとうさぎの人形を操りながら声を発していたのは、ジーンズにトレーナ
ー姿のお姉さまふたりだった。

「私たちは、『人形劇団ZOO』っていいます。ちょっと話を聞いていっても
らえませんか?」

人形劇団??。へー、そんなサークルが実際にあるんだ。面白いもんだな……。

僕は、このとき、ある唄と、ある映画のことを考えていた。

・・・ある唄とは、四畳半フォークソングの代名詞となった「神田川」。南こ
うせつとかぐや姫というグループの出世作だ。リーダーの南こうせつと、メン
バーの伊勢正三は、高校(大分舞鶴高校)の先輩でもあることから、僕はこの
唄を、ギターを抱えてよく歌っていた。

また、この唄が大ヒットした翌年、同名の映画が作られた。この映画の主役は
草刈正雄と関根恵子(現在の高橋恵子)。草刈正雄は、大学で人形劇のサーク
ルに所属していた。関根恵子とは巡業先の地方で知り合い、その後ふたりは、
神田川の傍のボロアパートで同棲を始める・・・。

僕の頭の中には、「神田川」の美しいメロディーと、関根恵子の可愛らしく、
かつ色気のある顔が、見事に交差していたのだった。

「人形劇かぁ……。オレも、関根恵子みたいな女の子と一緒に暮らして、赤い
手拭いをマフラーにして銭湯に行けるのかなぁ」などと、真面目に空想してし
まったのだ。

僕を勧誘してくれたお姉さまふたりは、当時大学4年生。木内さんと楠本さん
という。ふたりとも、当時の僕から見ると、すっごい大人の女性の魅力があっ
た。

このふたりの先輩からモーレツなアタックを受け、気がつけば、僕は入部(入
団?)のサインをしていた。

入部の動機はやや不純だったかもしれないが、僕はその後の大学4年間の多く
の時間を、人形劇の活動に費やすことになる。多くの素晴らしき出会いを、こ
の「人形劇団ZOO」を通じて得ていくことになる。

ということで、16番目の素晴らしき出会い。「人形劇団ZOO」そのものを
挙げることにしましょう。

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