このコラムでは、僕が生まれてから今日まで得てきた、素晴らしい出会いを書
き綴っている。
いちおう時系列で書いてきており、いま自分の大学2年生のころまでたどり着
いた。出会いの数も「23番目」まで漕ぎ着けた。
とはいっても、「100の出会い」までまだまだだ。
そこで今日はちょっと時期的に後戻りするが、僕が出会った忘れられないアー
ティストを紹介しよう。
その名も、チューリップ。花の名前ではない。彼らは5人組のバンド。1972年
にデビューした九州・福岡出身のバンドなのだ。
彼らが有名になったのは「心の旅」という曲がヒットしたことによる。この曲
のリリースが1973年。デビューから丸1年経った頃だ。それまでの1年間は、
まったくの鳴かず飛ばず。
この「心の旅」が、もしヒットしなければ、彼らは荷物をまとめて九州に帰る
ことになっていたらしい。
そんな崖っぷちの状態でリリースしたのが「心の旅」。
♪あー、だから今夜だけは、キミを抱いていたいー。
あー、あしたの今ごろは、
僕は汽車のなかー…♪
というメロディは、当時中学1年生だった僕の心にも、強烈に響いてきた。
この唄の歌詞は、まさにチューリップが意を決して、九州から東京に出てくる時
の心情を、リーダーの財津和夫が綴ったものだ。
「心の旅」のヒットのあと、「銀の指環」や「夏色の思い出」など数曲の唄を
ヒットさせていった。
これらの歌ももちろん素晴らしいのだが、でも、僕にとって「出会い」と呼べ
る、とっときの曲が他にある。
それは「青春の影」という曲だ。
♪きみの心に続く長い一本道はいつも僕を勇気づけた。
とてもとても険しく細い道だったけど、
いまきみを迎えに行こう…♪
高校の文化祭のとき、生まれてはじめて大勢の前でギターを弾きながら唄った
歌だ。いまでもカラオケに行くと唄うことがある(でも唄いすぎると安っぽく
なってしまうので興が乗ったときだけにしている)。
この歌を聞くと、自分の甘酸っぱい青春時代を思い出す。大勢の前で緊張しな
がら声を震わせながら唄った場面。手には一杯汗をかきながらギターを弾いた
あのステージの情景が、昨日のことのようによみがえってくる。
・・・ということで、24番目の素晴らしき出会いは、チューリップと、彼ら
の名作「青春の影」でした。
#実は、つい昨日(6月4日)、チューリップの再結成コンサートに行ってき
たばかり……。リーダーの財津和夫は今年57歳。いまの若手バンドにも負け
ない声量、声質、演奏の美味さ、味わい深さ。ただただ恐れ入るばかり。その
すごさに圧倒されて、このコラムを書いてしまった次第です(汗)。
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