釘さんの100の出会い プロフィール
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  <第95話> 「M商事の人事マンたちとの出会い(その2)」   2006/10/16  
 
M商事への初訪問から1週間ほどした後、再度、杉村さんと浦田さんのところ にお邪魔した。

「率直なところ、パフに協賛していただける可能性はどのくらいですか?」

僕は、真剣に聞いてみた。

「正直なところ、わかりません。私たちだけで決めることが出来ませんので、 “五分五分”といったところでしょうか……」

杉村さんと浦田さんは、僕の質問に対して、真摯に答えてくださった。そして、 その日のうちに、二人から連絡が入った。

「たびたび申し訳ありませんが、上席の課長がお会いしたいと申しています。 そこで、再度説明をお願いできませんか?」

杉村さんと浦田さんは、パフに協賛するために、決裁権(会社としての意思決 定をする権限)を持つ課長を動かしてくれたのだ。

それから数日後の朝早い時間だった。僕は出張先の仙台から、始発の新幹線に 乗って戻り、東京駅の丸の内南口を出てすぐの、M商事本社に向かった。

応接室に通されて数分後。杉村さんと浦田さん、そしてもうひとり。ひとめで 上席者とわかる人物が入室してきた。

この上席者と名刺交換をしようとしてビックリした。とても爽やかな笑顔なの だ。そして、このうえない腰の低さ。笑顔や態度だけではない。応接室全体を、 「ようこそいらっしゃいました!」という雰囲気に変えてしまうオーラのよう なものを感じた。有名大企業の管理職のイメージを覆すものだった。

「朝早くから、わざわざご来社くださいまして、ありがとうございます。M商 事の泉田と申します」

泉田(いずみだ)さん……。初対面のはずなのに、なぜか懐かしい旧友に再会 したような錯覚に陥った。ふたりに共通する何かを感じたのだ。

それから30分程度だったが、僕がパフという会社を作った理由や将来において やりたいことを説明し、学生の就職の現状、就職情報業界の現状などを熱く語 り合った。

「では、近いうちに必ずお返事します。本日は、ほんとうにどうもありがとう ございました」

泉田さん、杉村さん、浦田さんは、エレベーターのところまで送ってくださり、 深々とお辞儀をしてくださった。

この終始、丁寧に接してくださる対応は、8年以上経った今でも記憶に残って いる。日本の経済界をリードし、学生の人気ランキングでもトップクラスの日 本を代表する大企業なのに、不遜な態度がまったくない。こちらは設立したて のちっぽけな超零細企業なのに……。この厚いもてなしには感動した。


そして、数日後。「ぜひパフさんに協賛させてください」という正式な連絡を もらったのだった。

ことごとく多くの大企業からの断りが続く中、M商事がパフの協賛企業になっ てくれた。このことは、その後のパフに数々の大きなプラスの影響をもたらし た。

それだけではない。泉田さん、杉村さん、浦田さんの3人の人事マンたちは、 パフの活動のあらゆるところで、惜しみない協力をしてくださったのだった。
(つづく)
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