創業物語 プロフィール
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  第28話    「悶絶・苦悩・絶体絶命の日々~3~」 2001/2/11  
「む・むちゃくちゃですね。に・2ヶ月間かけて、こ・これですか…」

ボクが生まれて初めて作ったパソコンのプログラム。
それはそれは、ひどいモノでした。

悪いことに、このシステムのエンドユーザー(最終納品先)は、T社の大得意
さんで、国内最大手コンピューターメーカーであるF社だったのですが、その
納期(エンドユーザー立ち会い検査日)まで、実はあと1週間しかなかったの
です。

普段は飄々としている技術者E本さんも、この無茶苦茶なプログラムを目の当
たりにして、さすがに言葉を失った様子でした。
しかし、しばらくして…

「釘崎さん、どんなことをしてでも、あと1週間で完成させますからね。
  明日からは、この技術センターに缶詰になっていただきます。一緒にプログ
  ラムを完成させましょう」

「は、はい」としか答えることの出来なかったボクは、翌日からまさに一睡も
できない状況下におかれ、日々、プログラムの修復(というかほとんど作り直
し)に追われる毎日でした。
もっとも、ほとんどのプログラムを作ってくれていたのは、担当のE本さんで
あり、ボクはその助手みたいな位置づけで、E本さんの鮮やかなプログラミン
グ技術に感心しながら、次第次第に出来上がっていくシステムに感動を覚えた
ものでした。

そして1週間後、無茶苦茶だったプログラムは見事生まれ変わったのでした。

「釘崎さーん、間に合いましたね。ほら、ちゃんと仕様通りに作動してますよ。
  やりましたねー。これで我々クビにならずに済みますよ。やれやれ…」

このE本さんの納期までシステムをキチンと完成させるという執念。ボク以上
に休むことなく寝ることなく黙々とシステム作りを行う集中力、精神力。そし
て、事実納期通り完成させてしまった凄い技術力。おそらくE本さんはボク以
上にこの1週間寝ていないはずで…。

社会人というのは、かくもスゲーものか!と思い知らされた1週間でした。

それにしても、どうしようもないまったくのド素人である外注のボクを見捨て
るどころか、一緒に最後までつきあってくれたE本さん、未だに感謝していま
す。ボクの大恩人のひとりです。

このシステム案件がきっかけで、以降たくさんの仕事をボクご指名でいただく
ことになり、ボクのシステム技術者としての社会人生活が本格的にスタートす
ることになったのでした。

そして5年後、社会人としての岐路がまた訪れることになるのです。

                  (いきなり5年後?ずいぶん端折るねー。…つづく)

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